中学受験、中学国語に役立つ、似た意味のことわざのまとめと問題です。
「泣き面に蜂」「石橋を叩いて渡る」「ぬかに釘」「雀百まで踊り忘れず」「恩を仇で返す」…といったことわざをよく聞きますが、似た意味のことわざにどのようなことわざがあるのでしょうか。そもそもこれらのことわざはどのような意味なのでしょうか。
「豆腐にかすがい」もよく聞くことわざですが、「かすがい」とは何なのか、「柳に風」は「のれんに腕押し」と同じ意味なのかについても確認します。
似た意味のことわざ一覧
似た意味のことわざを一覧にまとめました。意味はそれぞれのことわざによって多少異なります。
ことわざ | 意味 |
猿も木から落ちる
弘法も筆の誤り 河童の川流れ 天狗の飛び損ない | 名人でも失敗すること |
あとは野となれ山となれ
旅の恥はかきすて | 後はどうなっても構わないこと |
泣き面に蜂
弱り目にたたり目 | 不運が重なること |
のれんに腕押し
豆腐にかすがい ぬかに釘(糠に釘) | 手応えがないこと |
二兎を追う者一兎をも得ず
虻(あぶ)蜂(はち)取らず | あれもこれもと手を出すとどちらも手に得られないこと |
猫に小判
豚に真珠 馬の耳に念仏 犬に論語 | 価値のわからない者に貴重なものを与えても役に立たないこと |
恩をあだで返す
後ろ足で砂をかける | 恩のある人に対して、裏切るような仕打ちをすること |
果報は寝て待て
待てば海路の日和あり | 幸運は待っていれば自然と来ること |
一難去ってまた一難
前門(ぜんもん)の虎後門(こうもん)の狼 | 一つの災難から逃れたと思ったら、また新たな災難がやってくることのたとえ |
提灯(ちょうちん)に釣鐘(つりがね)
月とすっぽん | 2つのものが(似ているところもあるけれど)違いすぎることのたとえ |
塵(ちり)も積もれば山となる
石の上にも三年 雨だれ石を穿(うが)つ | 小さなことも続ければ大きな成果を生むこと |
渡る世間に鬼はない
捨てる神あれば拾う神あり | 世の中には冷たい人ばかりでなく、親切な人もいること |
絵にかいた餅
捕らぬ狸の皮算用 | 計画は立派でも実現していない、実現できないもの |
雀百まで踊り忘れず
三つ子の魂百まで | 幼いときに身に着けた習性はいくつになっても直らないこと |
蛙の子は蛙
瓜の蔓(つる)になすびはならぬ | 子の性質は親に似ること |
石橋を叩いて渡る
転ばぬ先の杖 | 非常に慎重なようす |
紺屋(こうや)の明後日
問屋(といや)のただいま | あてにならない |
生徒からよく質問されることわざに関して、補足しておきます。
弘法も筆の誤り
弘法は真言宗を開いた弘法大師=空海のことです。書道の達人としても有名な空海ですが、あるとき応天門の額を書いたとき、「応」の字に点を一つ打ち忘れていたそうです。すでに額を掲げた後だったので、空海は墨をつけた筆を投げつけて点を打った…という超人のような伝説が残っています。
あとは野となれ山となれ・旅の恥はかきすて
一見つながりがなさそうなことわざですが、似た意味のことわざです。「あとは野となれ山となれ」はやることをやったので後はどうにでもなれ、「旅の恥はかきすて」は旅先ではいつもならできないようなことでもどうにでもなれと大胆にやってしまう、というのがもとの意味です。
のれんに腕押し・豆腐にかすがい・ぬかに釘
いずれも手応えのないもののたとえで使われることわざです。
のれん(暖簾)は下のようなお店の入り口などにかかっている布です。
画像:いらすとや
かすがい(鎹)は下のようなコの字形の釘です。
ぬか(糠)といえばぬか漬けが有名ですね。ぬかのもとは玄米を精白するときに出る外皮、胚芽が混じったものです。
画像:いらすとや
「柳に風」も同じ意味?
「柳に風」ということわざがありますが、柳が風になびくように、相手に下手に逆らわずさらりと受け流すことを意味します。柳に風が吹いても手ごたえがないという意味ではありません。「のれんに腕押し」とは意味が違うので注意してください。
雀百まで踊り忘れず・三つ子の魂百まで
「雀百まで踊り忘れず」は、雀が飛び跳ねる癖は百歳になってもなおらない、という意味を表します。「踊り」という語が使われていますが、本来は「悪い習慣や癖」に対して使われます。
「三つ子の魂百まで」でいう三つ子は三歳の子を指しています。幼い頃の性格は百歳になっても変わっていない、という意味です。本来の意味では幼い頃習った技術に対しては使いません。
紺屋の明後日・問屋のただいま
紺屋(こうや)は染物屋のことです。紺屋の白袴ということわざも有名です。
問屋は今では「とんや」と読みますが、このことわざでは「といや」と読みます。紺屋の「明後日にはできます」問屋の「ただいまお届けします」は当てにならないということから、ことわざができました。
【問題編】似た意味のことわざ
問 次のことわざの意味に最も近い意味のことわざを、ア~ウの中から記号で選びなさい。(答えは▶をクリック)
(1) 猿も木から落ちる
ア 猿の人まね
イ 豚に真珠
ウ 河童の川流れ
ウ
(2) 旅の恥はかきすて
ア あとは野となれ山となれ
イ 枯れ木も山のにぎわい
ウ 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥
ア
(3) 弱り目にたたり目
ア 泣く子と地頭には勝てぬ
イ 虻蜂取らず
ウ 泣きっ面に蜂
ウ
(4) のれんに腕押し
ア 豆腐にかすがい
イ 柳に風
ウ 泣きっ面に蜂
ア
(5) 二兎を追う者一兎をも得ず
ア 泣きっ面に蜂
イ 虻蜂取らず
ウ 豆腐にかすがい
イ
(6) 豚に真珠
ア 釈迦に説法
イ 猫に小判
ウ 月とすっぽん
イ
(7) 恩をあだで返す
ア 猫に小判
イ 後ろ足で砂をかける
ウ 待てば海路の日和あり
イ
(8) 一難去ってまた一難
ア 石の上にも三年
イ 蛙の子は蛙
ウ 前門の虎後門の狼
ウ
(9) 果報は寝て待て
ア 待てば海路の日和あり
イ 弱り目にたたり目
ウ 渡る世間に鬼はなし
ア
(10) 塵も積もれば山となる
ア 月とすっぽん
イ 石の上にも三年
ウ 渡る世間に鬼はない
イ
(11) 雀百まで踊り忘れず
ア 提灯に釣り鐘
イ 百害あって一利なし
ウ 三つ子の魂百まで
ウ
(12) 紺屋の明後日
ア 問屋のただいま
イ 石橋を叩いて渡る
ウ 捕らぬ狸の皮算用
ア
(13) 蛙の子は蛙
ア 瓜の蔓になすびはならぬ
イ 雨だれ石を穿つ
ウ 犬に論語
ア
(14) 絵にかいた餅
ア 月とすっぽん
イ 捕らぬ狸の皮算用
ウ 餅は餅屋
イ
(15) 石橋を叩いて渡る
ア 転ばぬ先の杖
イ 石の上にも三年
ウ 橋がなければ渡られぬ
ア
まとめ
似た意味のことわざを確認してきました。必ずしも同じ意味ではありませんので、元々の意味や由来を確認しておくことをおすすめします。
また「のれんに腕押し」と「柳に風」のように同じ意味のことわざと間違われやすいものもあるので気をつけてください。