今回は古文動詞のサ行変格活用(カ変)に関するまとめと、活用表の問題です。
サ行変格活用になる動詞は「す」「おはす」と「奏す」「念ず」などの複合動詞のみです。現在でも「する」はサ行変格活用になっていますが、古語の「す」と現代語の「する」では未然形、終止形、命令形で異なるところがあります。
古文のサ行変格活用の活用のしかたを確認しておきましょう。
古文動詞 サ行変格活用(サ変)
カ行変格活用の動詞は、せ・し・す・する・すれ・せよと活用します。サ行変格活用になる動詞は「す」「おはす」とその複合動詞のみです。複合動詞には「奏(そう)す」「恋す」「念ず」などがあります。
「おはす」は「あり」の尊敬語で、「いらっしゃる」「おいでになる」などと訳します。
「奏す」は「言ふ」の謙譲語で、「申し上げる」などと訳します。
サ行変格活用の活用表
サ行変格活用の活用表です。未然形は「ず」、連用形は「たり」、連体形は「とき」、已然形は「ども」に続く形です。
語 幹 |
未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
|
す | ○ | せ | し | す | する | すれ | せよ |
おはす | おは | せ | し | す | する | すれ | せよ |
念ず | 念 | ぜ | じ | ず | ずる | ずれ | ぜよ |
口語の「する」と異なるのは未然形、終止形、命令形です。
「奏す」「解す」など「す」と接続してできたさまざまな複合動詞がありますが、「~ん」と「す」で複合動詞をつくるときは「す」が「ず」になります。
【例】「念(ねん)」+「す」→「念ず」、「信(しん)」+「す」→「信ず」
なお、「~ず」もザ行変格活用とは呼ばず、サ行変格活用になります。
サ行変格活用動詞の活用形
サ行変格活用の動詞は、次のように活用します。
・す+ず → せず(未然形)
・す+ば → せば(未然形)
※「未然形+ば」で順接の仮定条件(もし~ならば)
・す+たり →したり(連用形)
・す+けむ →しけむ(連用形)
・す+べし → すべし(終止形)
・おはす+らむ →おはすらむ(終止形)
・信ず+こと → 信ずること(連体形)
・す+ども → すれども(已然形)
・念ず+ば → 念ずれば(已然形)
※「已然形+ば」で順接の確定条件(~ので)、偶然条件(~と)など
・恋す→ 恋せよ(命令形)
【問題編】動詞のサ行変格活用
問1 サ行変格活用の活用表の空欄を埋めましょう。(語幹がない場合は○)
語 幹 |
未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
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す | |
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おはす | |
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問2 [ ]内の現代語の意味になるように、( )内の動詞を活用しましょう。
(1) ( 恋す )ば [もし恋するならば]
(2)( おはす )ば [いらっしゃるので]
(3)( 信ず ) [信じなさい]
まとめ
・サ行変格活用は「せ・し・す・する・すれ・せよ」
・サ行変格活用は「す」「おはす」とその複合動詞(「奏す」「恋す」「念ず」など)