助詞の「の」の識別問題は試験でよく出題されます。「私の本」「母の作った料理」「野球するのは楽しい」これらはいずれも異なった「の」の意味・用法になっています。それぞれどのような意味で使われているのでしょうか。
助詞「の」の用法と見分け方を確認してから、識別問題を解いてみましょう。
助詞の「の」意味・用法
助詞「の」のさまざまな意味・用法を確認していきます。
格助詞「の」
格助詞「の」には連体修飾、部分の主語、名詞の代用、同格、並立などの用法があります。部分の主語、名詞の代用、同格に関しては別の語で言い換えられるので他と区別できます。
・私の本です。(連体修飾)
・母の作ったケーキはおいしかった。(部分の主語)→ 「の」を「が」で言い換えられる。
・辛いのが食べたい。(名詞の代用【準体言】)→ もの(名詞)で言い換えられる。例文の場合「食べ物」で言い換えられる。
・私が部長の吉田です。(同格)→ 「の」を「である」と言い換えられる。
・なんのかんの言って、結局はやらない。(並立)→「~の~の」と繰り返し使われる
終助詞「の」
終助詞「の」はふつう文末に置かれ、主張や質問を表します。質問の意味で使うときは上げ調子で読みます。
・もう帰りたいの。(主張)
・もう帰りたいの?(質問)
助詞の「の」と紛らわしいもの
格助詞・終助詞の「の」と紛らわしいものについても確認しておきましょう。品詞分解の参考にしてください。
接続助詞「ので」「のに」
「ので」「のに」という接続助詞があります。語源は格助詞の「の」と「で」「に」が合わさったものですが、一つの助詞として考えます。
・遅くまで起きていたので、眠い。
・帰りたいのに帰れない。
連体詞「~の」
連体詞で「~の」の形をとるものがあります。(例:この・その・あの・どの・ほんの・くだんの・かの、など)
・この本はおもしろい。
・ほんの気持ちです。
「本の気持ち」なら格助詞「の」(連体修飾)ですが、少しばかりの、という意味で使っている「ほんの」から連体詞と考えられます。(※連体詞としない説もあります)
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【問題編】助詞「の」の識別
問 次の各文の下線部「の」と同じ用法で「の」が使われているものを、下のア~エから選びなさい。
ア 彼の作った料理はおいしい。/イ どうやら彼の本がなくなったらしい。
ウ するのしないの騒いでいる。/エ この靴は彼のだろう。
オ これから練習するの。/カ 弟の哲郎が代わりに行った。
(1) 私は彼の妹を知っている。
(2) あなたの書いた本はおもしろいね。
(3) 塾に行くのが面倒くさい。
(4) こちらが部長の高橋です。
(5) 行くの行かないのもめている。
(6)彼女は「もう部活を引退するの。」と言っていた。
まとめ
助詞「の」の見分け方について、問題とともに解説してきました。問題は解けましたでしょうか。
特に格助詞には連体修飾、部分の主語、準体言、同格、並立などの意味があり紛らわしいのですが、部分の主語は「~が」、準体言は「もの、こと」などの体言に、同格は「~である」と言い換えることで見分けることが可能です。