今回は助詞「から」の識別問題が解けるように、「から」の意味・用法と見分け方を解説します。「から」の見分け方を覚えたら、練習問題に取り組んでみましょう。
助詞「から」の意味・用法
助詞「から」は格助詞と接続助詞があります。格助詞の「から」は体言や連体形に接続して、動作や作用の起点や理由・原因、材料などを表します。接続助詞の「から」は終止形に接続詞、理由・原因などを表します。
場所の起点・経由の「から」
「場所+から」で起点や経由を表します。
・東京から帰ってきたばかりです。(起点)
・玄関から猫が入ってきた。(経由)→「玄関を通って」と言い換えられる
人の起点・順序の「から」
「人+から」で動作の起点や順序を表します。
・友達からもらいました。(起点)
・あなたから入って。(順序)→「まずあなたが」と言い換えられる
開始時点の「から」
「時を表す語句+から」でいつ開始されたかを表します。
・1時から試験が再開されます。
・姉は昨日から旅行に行っています。
材料の「から」
材料・原料を表します。「~でできている」と言い換えられます。
・ワインはぶどうから作られています。
原因・理由の「から」
格助詞の「から」
体言につき、「~ゆえに」と言い換えられます。
・不安から眠れなかった。→ 不安ゆえに
接続助詞の「から」
用言や助動詞の終止形につき、「~ので」と言い換えられます。
・暗くなってきたから早く帰りましょう。→ 暗くなってきたので
以後の「から」
「~から」で「~以後」の意味になり、体言として使われます。(準体助詞とも呼ばれています。)
・入社してからが本当の勝負だ。
助詞「から」の見分け方
「から」には格助詞と接続助詞があります。その見分け方は体言、連体形に接続しているのか、終止形に接続しているのかで見分けられます。
「~してから(~以後)」という格助詞(準体助詞)もあります。
・「体言・連体形+から」なら格助詞
・「終止形+から」なら接続助詞
体言に接続している場合、その体言が場所、人、材料、原因を表しているかで「から」がどのような働きをしているか考えられます。その中でも紛らわしいものの見分け方をまとめると、
【体言+から】
・場所の起点か経由 …「~を通って」と言い換えられば経由
・理由か材料か … 「~ゆえに」と言い換えられれば理由、「~でできている」と言い換えられれば材料
【~(し)てから】→ ~以後を表す準体言(準体助詞)
上のポイントが押さえられれば多くの試験で対応できるでしょう。
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【問題編】助詞「から」の識別
問1 次の下線部「で」と同じ意味で使われている助詞の「から」を、あとのア~ウから選び記号で答えなさい。
(1) チーズは牛乳から作られている。
ア この商品は10年前から作られている。
イ この商品は人気だから長年作られている。
ウ この商品は天然の素材から作られている。
(2) 友人からお土産をもらった。
ア 庭でとれた野菜から作りました。
イ 田中君から事情は聞きました。
ウ 入学してからが大変そう。
(3) 東京から出発しました。
ア 窓から虫が入ってきた。
イ 学校から帰ってきた。
ウ 苦痛から顔をしかめた。
問2 次の下線部の中から接続助詞を選んで記号で答えなさい。
ア たくさん食べたからお腹が苦しい。
イ 東京に戻ってからは寂しい気分になった。
ウ 去年からバイオリンを始めた。
まとめ
助詞「から」の意味と見分け方について学習してきましたが、起点、経由、材料、理由、以後などの意味がありました。それぞれの意味を区別できるようになったでしょうか。
他の語に言い換えたり助詞の直前の語に注目し、見分けるようにしてくださいね。