今回は助詞「が」の識別問題の解き方を解説します。助詞「が」にはどのような意味・用法があるのか、見分け方のコツについても確認、練習問題を解いてみましょう。
助詞「が」の意味と用法
助詞の「が」には主語、対象、逆接、並列などの意味があります。主語、対象の意味で使う格助詞「が」は、会話では省略されることもあります。
主語の格助詞「が」
述語の主体を指します。同じく主語に使われる助詞「は」「も」などに言い換えることができます。
・あの人が菅さんです。
・きれいな花が咲いていた。
「が」と「は」の違い
格助詞「が」と副助詞「は」はどちらも主語に使われる助詞ですが、若干使い方が異なります。
・私が大平です。(「大平さんはどなたですか」のような質問の答え)
・私は大平です。(「お名前は?」と聞かれたときの答え)
・彼女がきれいだ。(今日は特別きれいに見えたり、グループの中できれいに見える)
・彼女はきれいだ。(彼女の普段からの性質)
・私がそこに行きました。(「そこにだれが行ったのですか」のような質問の答え)
・私はそこに行きました。(他の人はそこに行っていないと受け取れる)
述語が「何だ」「どんなだ」のときは「が」を使うと主語を強調、「どうする(どうした)」のときに「は」を使うと主語を強調しているように感じられます。
対象の格助詞「が」
好き・嫌いの感情、希望、能力などの対象を示します。多くは「を」で言い換えられますが、「欲しい」という語は「~が欲しい」という言い方の方が自然です。
・彼女が好きだ。(彼女を好きだ)
・新しいバッグが欲しい。(バッグを欲しい)
・麻生さんは英語が話せる。(英語を話せる)
逆接の接続助詞「が」
接続助詞「が」は逆接の意味でよく使われます。「しかし」と言い換えることもできます。
・小泉くんは活発だが、繊細なところもある。(→ 活発だ。しかし、…)
接続詞の「が」は句点の後に使われます。下の2つの文はほとんど意味が変わりません。
・雨が降り出したが、試合は続けられた。(接続助詞)
・雨が降り出した。が、試合は続けられた。(接続詞)
並列の接続助詞「が」
接続助詞「が」は「も」を伴って並列の意味で使うことがあります。「が」を「し」と言い換えられます。
・細川さんは英語もできるが、数学も得意だ。(→ 英語もできるし、…)
その他の助詞「が」の意味
他にも「が」には次のような使い方があります。
・すみませんが、後にしてください。(【接続助詞】話題の提示、前置き)
・雨が降ろうが槍が降ろうが構わない。(【接続助詞】構わない、しばられないことを示す)
・私がそちらにうかがっても良いのですが。(【終助詞】ためらいを示す)
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助詞「が」の見分け方
助詞「が」の見分け方のポイントをまとめました。
・「が」の前が体言なら格助詞 → 「を」と言い換えられれば対象の「が」
その他<述語の主体>ならば主格の「が」
・「が」の前が用言なら接続助詞 → 「しかし」と言い換えられれば逆接の「が」
「し」と言い換えられれば逆接の「が」
※「~。が、…」の「が」は接続詞。
他にも「が」の用法はありますが、試験では上の用法の区別ができれば大丈夫でしょう。
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【問題編】助詞「が」の識別
問 次の下線部「が」と同じ意味・用法で使われている助詞の「が」を、あとのア~ウから選び記号で答えなさい。
(1) のどがかわいたので、水が欲しい。
ア 雪が降ってきた。
イ 雪が見たい。
ウ 雪も降ってきたが風も強くなってきた。
(2) 食べてきたがお腹がもうすいてきた。
ア 練習したが、なかなか上達しなかった。
イ 必死で練習した。が、うまくならなかった。
ウ 毎日練習することが大切です。
(3) 私は野菜が嫌いだ。
ア 彼女は英語が話せる。
イ サッカーはイギリスが優勝した。
ウ かきの実がなっていた。
まとめ
助詞「が」の識別問題はいかがでしたか。
助詞の「が」には主語、(好き・嫌い、希望、可能の)対象、逆接、並列などの意味があります。「体言+が」でも主語とは限らず、対象の意味で使ってることがあるので気をつけましょう。