名詞とその種類に関するまとめと問題です。
名詞といえば机、花、日本のようなものの名前を表すものです。しかし名詞にも普通名詞、固有名詞、数詞、代名詞、形式名詞、転成名詞などの種類があり、名詞がどのタイプの名詞なのかテストで出題されることもあります。
普段私たちが会話や文章の中で多く使っている名詞ですが、奥が深いようです。
名詞とはどのようなものか、各名詞の種類の例、助数詞についても確認します。
名詞の性質
名詞は体言とも呼ばれています。名詞には以下のような性質・特徴があります。
- 自立語で活用しない。
- ものの名前を表す品詞。
- 「が」「は」「も」などの助詞をつけて、主語にすることができる。
- 助詞・助動詞(付属語)をつけて、述語にすることができる。
名詞は自立語なので、形容詞+名詞は2つの文節になります。
- × 悲しいことが/あった。
- ○ 悲しい/ことが/あった。
名詞の6つの種類
名詞にはいくつか種類があり、普通名詞、固有名詞、数詞、代名詞、形式名詞、転成名詞などがあります。それぞれそのような名詞なのか、例も見ていきましょう。
普通名詞
普通名詞は一般的な物事の名前を指すものです。
【普通名詞の例】
机、空、かばん、服、りんご、飛行機、山、国、植物、サッカー、音楽、平和・・・など。
固有名詞
固有名詞は人名、国名、地名、山や川の名前、書名、会社の名前など、特定のものを指す名詞です。
【固有名詞の例】
聖徳太子、アメリカ、桜木町、富士山、信濃川、吾輩は猫である・・・など。
国は普通名詞で日本は固有名詞、山は普通名詞で富士山は固有名詞になります。
数詞
数詞は個数や数量などを表す名詞で、数字だけでなく「一人」「二枚」「第三」など単位なども含めて数詞と呼びます。「いくつ」「何枚」など数がはっきりしていないものも数詞に含まれます。
【数詞の例】
三人、四枚、五匹、1番目、第二、何枚、何本、いくつ・・・など。
「枚」「匹」のように、数を数えるときにつける単位を助数詞といいます。
【助数詞の例】
- 小さい動物(犬、ねこ)…匹(ひき)
- 大きい動物(象、鯨)…頭(とう)
- うさぎ、鳥類…羽(わ)※うさぎは兎(と)も使われる
- たんす…棹(さお)
- お箸、ご飯…膳(ぜん)
- 鏡…面(めん)
- 電車…両(りょう)
- 豆腐…丁(ちょう)
- イカ、タコ、カニ…杯(はい)
- キャベツ、レタス…玉(たま)または個(こ)、葉なら枚(まい)
代名詞
人、場所、もの、事、方向などの名詞の代わりをするもので、人称代名詞と指示代名詞があります。(代名詞は名詞と区別されることがあります。)
【代名詞の例】
・人称代名詞…私、君、彼、彼女、こちら、だれ…など。
・指示代名詞…あれ、ここ、そちら、こっち…など。
「こちら、そちら」は人に対しても物に対しても使われます。
「これ、ここ、こちら、こっち」は代名詞ですが、「こう、こんなだ、この」は異なる品詞です。
(こう→副詞、こんなだ→形容動詞、この→連体詞)
形式名詞
形式名詞はもともとの名詞の意味がうすれた語で、他の語が形式名詞を修飾しています。単独では使いません。形式名詞は原則としてひらがなで書きます。
(例)昨日悲しいことがあった。(「悲しい」が形式名詞「こと」を修飾している)
【形式名詞の例】
こと、もの、とき、とおり、ほう、ところ、わけ、うち・・・など。
「こと」や「もの」は「事」「物」と漢字でも書けますが、形式名詞として使うときはひらがなで書きます。
・この地図のとおりに進めば良い。→「とおり」は形式名詞
・この通りをまっすぐ進む。→「通り」は普通名詞
転成名詞
転成名詞は動詞や形容詞など他の品詞が名詞になったものです。動詞や形容詞は連用形で、また形容詞・形容動詞の語幹に「み」や「さ」をつけて、転成名詞になっているものがあります。
【転成名詞の例】
流れ、遊び、遠く、楽しみ、寒さ、重さ、悲しげ
【問題編】名詞の種類と助数詞を確認!
問1 次の下線部の名詞は普通名詞、固有名詞、数詞、代名詞、形式名詞のどれになるか答えましょう。
(1) 江戸幕府の初代将軍は徳川家康だ。
固有名詞
(2) いつは犬を飼いたいなあ。
普通名詞
(3) そんなつもりはなかった。
形式名詞
(4) お財布に三万円入っていた。
数詞
(5) こっちの道が近道だ。
代名詞
問2 次のものを数えるとき、どのような助数詞が使われるか下から選び、読み仮名も書きましょう。
膳 玉 棹 匹 頭 羽 脚 面
(1) たんす
棹・さお
(2) うさぎ
羽・わ
(3) いす
脚・きゃく
(4) キャベツ
玉・たま
問3 笑う(動詞)→笑い(名詞)のように他の品詞が変化してできた名詞を転成名詞といいます。次の転成名詞はどんな語がもとになっていますか。
(1) 悲しみ
悲しい
(2) 流れ
流れる
(3) 寒け
寒い
問4 次のア~エの下線部で代名詞をすべて選びましょう。
ア これが欲しかった。
イ この本を読みたかった。
ウ こんなドラマがあるのを知らなかった。
エ こっちが近道だ。
ア、エ
まとめ
・名詞(=体言)はものの名前、助詞や助動詞をつけて主語・述語になる
・名詞の種類 … 普通名詞、固有名詞、数詞、代名詞、形式名詞、転成名詞
・山は普通名詞、富士山は固有名詞
・形式名詞はひらがなになる
「こちら」は代名詞でも、「この」は単独で使えず名詞ではない、「楽しみ」は形容詞「楽しい」に似ているけれど転成したものなので名詞(転成名詞)と考える、と名詞の種類を理解することで、品詞の種類も見分けやすくなります。
「もの」「こと」も名詞なので、「楽しい/こと(が)」のように一つの文節として扱うようにしましょう。