高校古文の文法で学習する 間投助詞、「や・よ・を」の意味とはたらきの一覧、まとめと問題です。
さまざまな語に接続して詠嘆や強意などを示す間投助詞ですが、それぞれの間投助詞にはどのような意味やはたらきがあるのか、間投助詞を使った例文とともに確認します。
古典文法 間投助詞の意味・はたらきと一覧
間投助詞のはたらき、各間投助詞の接続と主な意味・はたらきを一覧で見ていきます。
間投助詞のはたらきとは?
間投助詞は文中や文末にあり、体言や種々の語に接続して詠嘆や感動・呼びかけを表したり、語調を整えるはたらきがあります。
間投助詞の接続・意味一覧表
間投助詞「や・よ・を」の主な意味・はたらきを示した一覧表です。
間投助詞 | 主な意味とはたらき |
や | 詠嘆「~よ、~だなあ」
呼びかけ「~や、~よ」 語調を整える |
よ | 詠嘆「~よ」
呼びかけ「~よ」 |
を | 詠嘆「~よ、~ね、~なあ」
強意「~ね、~よ」 【~を…み】原因・理由「~が…ので」 |
古典文法 間投助詞の意味と例文
古文の間投助詞「や・よ・を」の意味と例文を見ていきます。
古文間投助詞「や」の意味と例文
古文の間投助詞「や」は種々の語に接続し、次のような意味・はたらきがあります。
●詠嘆「~よ、~だなあ」
●呼びかけ「~や、~よ」
●語調を整える
間投助詞の「や」は文末だけでなく、文中でも使われるます。係助詞の「や」とまぎらわしいですが、係助詞の「や」の場合は後の活用語が連体形になります。
詠嘆の「や」
これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関【後撰集 (蝉丸)】
(これなのだなあ、行く人も帰る人も別れては、知る人も知らぬ人も会うという逢坂の関か。)
あはれ、いと寒しや。【源氏物語】
(ああ、たいそう寒いことだなあ。)
呼びかけの「や」
朝臣や、さやうの落ち葉をだに拾へ。【源氏物語】
(朝臣よ、そのような落ち葉だけでも拾いなさい。)
語調を整える「や」
わが心慰めかねつ更級や 姨捨山に照る月を見て【古今和歌集】
(私の心を慰めようとしてもできない、更級の姥捨山に照る月を見ていると。)
一見詠嘆の「や」と変わらないように見えますが、上の例文では「更級」に感動の中心があるわけではなく、連体修飾として前の語と後の語をつなげています。
古文間投助詞「よ」意味と例文
間投助詞「よ」は種々の語に接続し、次のような意味・はたらきがあります。
●詠嘆「~よ」
●呼びかけ「~よ」
詠嘆の「よ」
今は吾は死なむよわが背生けるとも われに寄るべしと言ふといはなくに【万葉集 (大伴坂上郎女)】
(もう私は死にたいことですよ、私の愛しい人。生きていても私に心を寄せてれるとは言ってくれませんから。)
呼びかけの「よ」
少納言よ、香炉峰の雪いかならむ。【枕草子】
(少納言よ、香炉峰の雪はどうであろうか。)
古文間投助詞「を」意味と例文
古文の間投助詞「を」は種々の語に接続し、次のような意味・はたらきがあります。
●詠嘆「~よ、~ね、~なあ」
●強意「~ね、~よ」
●【~を…み】原因・理由「~が…ので」
詠嘆の「を」
つひに行く道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを【伊勢物語】
(最後に通る道とはかねてから聞いていたけれども、昨日今日とは思わなかったことだなあ。)
強意の「を」
とく装束きてかしこへを参れ。【蜻蛉日記】
(早く装束を着てあちらへ参上しなさい。)
上の例文は「語調を整える」という解説もあります。
原因・理由の「~を…み」
【~を…み】の形で、「~が…なので」という意味になります。
瀬を早み岩にせかかる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ【詞花集 (崇徳院)】
(川の流れが速いので岩にせき止められた滝の川が分かれてもまた一つになるように、また会おうと思う)
【問題編】古典文法 間投助詞の確認問題
問 次の下線部の間投助詞のはたらきを、ア~ウから選びましょう。
(1) 朝臣や、さやうの落ち葉をだに拾へ。
ア 詠嘆
イ 呼びかけ
ウ 語調を整える
イ
(2) これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関
ア 詠嘆
イ 呼びかけ
ウ 語調を整える
ア
(3) わが心慰めかねつ更級や 姨捨山に照る月を見て
ア 詠嘆
イ 呼びかけ
ウ 語調を整える
ウ
(4) 今は吾は死なむよわが背生けるとも
ア 詠嘆
イ 呼びかけ
ウ 語調を整える
イ
(5) とく装束きてかしこへを参れ。
ア 詠嘆
イ 強意
ウ 原因・理由
ウ
問2 次のア~ウの下線部で間投助詞であるものを記号で答えましょう。
ア や、なおこし奉りそ。
イ 遊びをせむとや生まれけむ。
ウ これやこの行くも帰るも別れては
ウ