今回は古文動詞の上二段活用に関するまとめと、活用表の問題です。
上二段活用になる動詞(生く、過ぐ、恥づ、報ゆなど)の活用、上一段活用との違い、後に四段活用となった動詞、3つのヤ行上二段活用の動詞についても確認します。
古文動詞 上二段活用
上二段活用になる動詞は「生く」「起く」「恥づ」「恋ふ」「憂ふ」「侘ぶ」「恨む」「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」「懲る」「下(お)る」「降(お)る」などがあります。
「恨む」以外は「生く」→「生きる」、「起く」→「起きる」、「侘ぶ」→「侘びる」のように、現代語では「イ段+る」と変化しているものが多く、上一段活用となっています。
上一段活用は、イ・イ・ウ・ウる・ウれ・イよと活用します。
上二段活用の活用表
上二段活用の活用表です。未然形は「ず」、連用形は「たり」、連体形は「とき」、已然形は「ども」に続く形です。
語 幹 |
行 | 未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
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生く | 生 | カ | き | き | く | くる | くれ | きよ |
過ぐ | 過 | ガ | ぎ | ぎ | ぐ | ぐる | ぐれ | ぎよ |
落つ | 落 | タ | ち | ち | つ | つる | つれ | ちよ |
抉づ | 抉(こ) | ダ | ぢ | ぢ | づ | づる | づれ | ぢよ |
憂ふ | 憂 | ハ | ひ | ひ | ふ | ふる | ふれ | ひよ |
侘ぶ | 侘 | バ | び | び | ぶ | ぶる | ぶれ | びよ |
恨む | 恨 | マ | み | み | む | むる | むれ | みよ |
報ゆ | 報 | ヤ | い | い | ゆ | ゆる | ゆれ | いよ |
降る | 降(お) | ラ | り | り | る | るる | るれ | りよ |
「老ゆ」「悔ゆ」「報ゆ」などは活用すると未然、連用、命令形で「○い」「○いよ」になりますが、ア行ではなくヤ行になるので注意してください。
「恨む」は上二段活用で使われていましたが、後に四段活用になり、口語では五段活用です。
上二段活用は「ず」をつけるとイ段になるのが特徴ですが、上一段活用も同様です。上一段活用(「干る」「居る」「射る」「見る」などの「ひいきにみゐる」)と区別しましょう。
▼動詞の活用9種類と見分け方はコチラの記事を
上一段活用との違い
上一段活用と上二段活用の活用の違いは、下表に示したように終止形、連体形、已然形にあります。
上二段活用はイ段またはウ段の二段で活用しますが、上一段活用は全てイ段から始まります。
未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
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上一段活用 | イ | イ | イる | イる | イれ | イよ |
上二段活用 | イ | イ | ウ | ウる | ウれ | イよ |
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上二段活用動詞の活用形
上二段動詞に続く助動詞・助詞などの語により、次のように活用します。
・落つ+ず → 落ちず(未然形)
・過ぐ+ば → 過ぎば(未然形)
※「未然形+ば」で順接の仮定条件(もし~ならば)
・恨む+たり → 恨みたり(連用形)
・侘ぶ+て → 侘びて(連用形)
・報ゆ+べし →報ゆべし(終止形)
・憂ふ+こと → 憂ふること(連体形)
・過ぐ+ば → 過ぐれば(已然形)
※「已然形+ば」で順接の確定条件(~ので)、偶然条件(~と)など
・生く → 生きよ(命令形)
【問題編】動詞の上二段活用
問 下表の空欄を埋めなさい。
語 幹 |
行 | 未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
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老ゆ | |
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恥づ | |
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懲る | |
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恨む(上二) | |
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まとめ
・上ニ段活用は「イ・イ・ウ・ウる・ウれ・イよ」
・上一段活用と違うのは終止形・連体形・已然形
・上ニ段活用になる動詞は現代語では「イ段+る」と変化しているものが多い(「生く」→「生きる」「起く」→「起きる」など)
・↑「恨む」は例外、後に四段活用、口語で五段活用