今回は古文動詞の上一段活用に関するまとめと、活用表の問題です。
上一段活用になる動詞(射る、着る、見る、似るなど「ひいきにみゐる」)とその活用例を見ていきます。ア行と間違われやすいヤ行、ワ行の上一段活用も確認します。
古文動詞 上一段活用「ひいきにみゐる」
上一段活用になる動詞は「ひる(干る、嚔る)」「いる(射る、鋳る)」「きる(着る)」「にる(煮る、似る)」「みる(見る)」「ゐる(居る、率る)」やこれらが語尾になる「試みる」「思ひ見る」「惟(おもんみ)る」「用ゐる」「率ゐる」などがあります。「ひいきにみゐる」と覚えておくと活用の種類が見分けやすいです。
上一段活用は、イ・イ・イる・イる・イれ・イよと活用します。
▼動詞の活用9種類と見分け方はコチラの記事を
上一段活用の活用表
上一段活用の活用表です。未然形は「ず」、連用形は「たり」、連体形は「とき」、已然形は「ども」に続く形です。語幹がないものは「○」で表しています。
語 幹 |
行 | 未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
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着る | ○ | カ | き | き | きる | きる | きれ | きよ |
似る | ○ | ナ | に | に | にる | にる | にれ | によ |
干る | ○ | ハ | ひ | ひ | ひる | ひる | ひれ | ひよ |
見る | ○ | マ | み | み | みる | みる | みれ | みよ |
思ひ見る | 思ひ | マ | み | み | みる | みる | みれ | みよ |
射る | ○ | ヤ | い | い | いる | いる | いれ | いよ |
居る | ○ | ワ | ゐ | ゐ | ゐる | ゐる | ゐれ | ゐよ |
率ゐる | 率 | ワ | ゐ | ゐ | ゐる | ゐる | ゐれ | ゐよ |
「いる(射る、鋳る)」はア行ではなくヤ行、「居る」はワ行になるので注意してください。
上一段活用動詞の活用形
上一段動詞に続く助動詞・助詞などの語により、次のように活用します。
・見る+ず → 見ず(未然形)
・射+ば → 射ば(未然形)
※「未然形+ば」で順接の仮定条件(もし~ならば)
・着る+たり → 着たり(連用形)
・干る+て → 干て(連用形)
・居る+らむ → 居るらむ(終止形)
・用ゐる+べし → 用ゐるべし(終止形)
・射る+こと → 射ること(連体形)
・思ひ見る+ば → 思ひ見れば(已然形)
※「已然形+ば」で順接の確定条件(~ので)、偶然条件(~と)など
・射る → 射よ(命令形)
【問題編】古文動詞の上一段活用
問 下表の空欄を埋めなさい。語幹がないときは○を入れなさい。
語 幹 |
行 | 未 然 形 |
連 用 形 |
終 止 形 |
連 体 形 |
已 然 形 |
命 令 形 |
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干る | |
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居る | |
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射る | |
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試みる | |
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まとめ
古文の動詞上一段活用のポイントまとめです。
・上一段活用は「イ・イ・イる・イる・イれ・イよ」
・上一段活用になる動詞は「ひいきにみゐる」と覚える(試みる、惟る、率ゐる、なども上一段活用)
・いる(射る、鋳る)はヤ行上一段、ゐる(居る、率る)はワ行上一段活用