助詞といえば「が」「は」「も」「から」など、単独では使わなくても会話や文章を成り立たせるために必要な品詞ですね。
今回は4種類の助詞、格助詞・副助詞・接続助詞・終助詞の性質、特徴と見分け方についてまとめました。
助詞の一覧表、紛らわしい助詞の格助詞・接続助詞の見分け方、格助詞の覚え方、また助詞の種類分け問題もご紹介します。
助詞ってどんな品詞なの?
助詞は単独では使われません。助動詞とともに付属語と呼ばれるグループに入ります。ただし、助動詞のように活用しません。
下の文章の太字が助詞になります。
私たちは学校へ毎日通います。
私が鈴木です。
そんなことを言うな。
助詞はひらがなで書き、言葉と言葉の間に入って関係を表現したり、意味を加える役割をします。
文節に区切ると助詞を探しやすいです。
私たちは/学校へ/毎日/通います。
私が/鈴木です。
そんな/ことを/言うな。
助詞は文節の最後に置かれます。(すべての文節で助詞が最後に使われるわけではありません。)
上の文にもある「ます」「です」は助動詞です。助動詞は「~う」「~ば」「~もの」などをつけて活用させることができます。(変化しないものもあります。)
ちなみに「そんな(だ)」は形容動詞です。自立語なので文節の区切りができています。(※連体詞という説もあります)
助詞の種類って?
助詞には格助詞・副助詞・接続助詞・終助詞の4種類があります。それぞれどんな助詞なのか、見てみましょう。
格助詞
格助詞は主に体言について語・文節どうしの関係を表し、主語・連体修飾・連用修飾・並立などの働きがあります。
(例)が、の、と、を、に、へ、や、で、から、より
下の文章で太字が格助詞です。
私が鈴木です。
彼が私の兄です。
妹とゲームをした。
家から学校へ向かった。
特に格助詞「の」の意味は複数あり、よく出題されます。(終助詞にも「の」があります。)
副助詞
いろいろな語について、意味をそえるのが副助詞です。
(例)も、は、こそ、まで、さえ、でも、ばかり、しか、すら、だけ、ずつ、ほど
下の文章で太字が副助詞です。
私もバレー部に入ることにした。
今日こそは早く帰るぞ。
宿題がこれしか終わってない。
主語でよく使われる「~が」「~は」「~も」ですが、「が」は格助詞で「は」「も」は副助詞になります。
接続助詞
文節と文節をつなぐ働きをする助詞が接続助詞です。読点(、)が後に続くことが多いです。
(例)ば、から、けれど、けれども、が、ので、のに、し、て、で、と、ながら、つつ
下の文章で太字が接続助詞です。
明日になれば、学校がお休みだ。
あんなに練習したのに、試合に勝てなかった。
朝ちゃんとご飯を食べてきたが、お腹がすいてきた。
彼があまりにもからかうから、私はイライラした。
「食べてみる」「知っている」「遊んでいる」のように、補助動詞と一緒に使われることがあります。
終助詞
主に文末に置かれるのが終助詞です。聞き手・読み手に話しての気持ちや態度を伝える役割があります。
(例)な、ぞ、か、ね、かしら、の、さ、よ
下の文章で太字が終助詞です。
そんなこと言うな。
今日は暑いのかしら。
もうご飯食べちゃったの、ごめんね。
「ね」「さ」「よ」などの終助詞は文末だけでなく文節の切れ目にも使われ、これらは間投(かんとう)助詞とも呼ばれます。
助詞の一覧表(格助詞・副助詞・接続助詞・終助詞)
主な助詞(格助詞・副助詞・接続助詞・終助詞)の一覧を表にまとめました。
格助詞一覧表
格助詞 | 主な働きと例文 |
---|---|
が | 主語、対象・私が内田です。(主語)
・彼はヘビメタが好きです。(対象) |
の | 連体修飾、部分の主語、体言の代用、同格・花の香り。(連体修飾)
・彼のかいた絵は傑作だ。(部分の主語) ・兄のは新品だ。(体言の代用・準体助詞) ・枝の細いのを使うと良いよ。(同格) |
と | 並立、引用、結果・リンゴとみかんの絵があった。(並立)
・帰りたいと言った。(引用) ・帰ると誰もいなかった。(結果) |
を | 対象、起点、経由・空をながめた。(対象)
・東京を出た。(起点) ・公園を通り帰った。(経由) |
に | 場所、目標・図書館にいました。(場所)
・宇宙飛行士になる。(目標) |
へ | 動作の方向 ※「エ」と発音・アメリカへと旅立った。(動作の方向) |
や | 並立・ロックやヘビメタが好きです。(並立) |
で | 場所、手段・方法、理由・ライブハウスで演奏した。(場所)
・はさみで紙を切る。(手段・方法) ・風邪で休んだ。(理由) |
から | 起点、材料、原因・東京から大阪まで2時間半ぐらいだ。(起点)
・ワインはぶどうから作られる。(材料) ・不注意から大きなミスをした。(原因) |
より | 起点、材料、比較・9時より受け付けを開始します。(起点)
・チーズは牛乳より作られる。(材料) ・パンよりご飯が好き。(比較) |
副助詞一覧表
副助詞 | 主な働きと例文 |
---|---|
も | 強調、並列、同類、類推・1万人も集まりました。(強調)
・ご飯もパンも好きです。(並列) ・私も帰ろうかな。(同類) ・人の気配も感じられない。(類推) |
は | 主題、限定、強調 ※「ワ」と発音・彼はいつも優しい。(主題)
・彼女はピアノはうまい。(限定) ・決して楽しくはない。(強調) |
こそ | 強調・彼こそ次のリーダーにふさわしい。(強調) |
まで | 限度、到達点、類推・聞いてみたまでです。(限度)
・浅草まで行ってきました。(到達点) ・親友にまで裏切られた。(類推) |
さえ | 添加、限定、類推・風だけでなく雨さえ降り始めた。(添加)
・傘さえあれば。(限定) ・彼はことばさえ話せない。(類推) |
でも | 類推、例示・子どもでも解けます。(類推)
・寿司でも頼みましょうか。(例示) |
ばかり | 限定、程度、完了した直後・兄ばかりひいきされていた。(限定)
・ここから30分ばかり歩いたところです。(程度) ・家に着いたばかりだ。(完了した直後) |
しか | 限定(+否定語)・それしか食べないの。(限定) |
すら | 類推・大人ですら解けない問題だ。(類推) |
だけ | 限定・あなただけにプレゼントします。(限定) |
ずつ | 同じ数量・1人3個ずつあげた。(同じ数量) |
ほど | 程度、比較(+否定語)・1時間ほどして連絡がきた。(程度)
・君ほどの努力家はそうそういない。(比較) |
接続助詞一覧表
接続助詞 | 主な働きと例文 |
---|---|
ば | 仮定・練習すればうまくなるよ。(仮定) |
から | 原因・理由・元号が変わるから書類の記入に注意しよう。(原因・理由) |
けれど(けれども) | 逆接、並立・雨が降っていたけれど(も)、出かけた。(逆接)
・甘いものも好きだけれど(も)、辛いのも好き。(並立) |
が | 逆接、並立・泣きたい気分だが、我慢した。(逆接)
・遊園地も行きたいが、水族館も行きたい。(並立) |
ので | 原因・理由寒いので、上着を着て出かけた。(原因・理由) |
のに | 逆接若いのにしっかりしている。(逆接) |
し | 並立頭もいいし、スポーツも万能だ。(並立) |
て(で) | 原因・理由、手段・方法、並立・風邪をひいて休んだ。(原因・理由)
・歩いて学校に行く。(手段・方法) ・白くてふわふわていた。(並立) ※ ガ行動詞五段活用イ音便、ナ行・バ行・マ行五段活用撥音便では「で」が使われます。 ・泳いで海を渡った。(手段・方法) |
ながら | 動作・作用の平行、逆接・食べながらテレビを見ていた。(動作・作用の平行)
・帰りたいと言いながら残っていた。(逆接) |
つつ | 動作・作用の平行、逆接・本を読みつつ父の様子をうかがっていた。(動作・作用の平行)
・悪いと知りつつやってしまった。(逆接) |
終助詞一覧表
終助詞 | 主な働きと例文 |
---|---|
な | 禁止、主張、念押し・もう言うな。(禁止)
・これが欲しいな。(主張) ・これ、おいしいよな。(念押し) |
ぞ | 主張・これが欲しいぞ。(主張) |
か | 質問、反語、依頼・勧誘・もう帰るのか。(質問)
・彼が犯人だなんてことがあろうか。(反語) ・そろそろ行こうか。(依頼・勧誘) |
ね | 詠嘆、念押し・彼女のドレス、すてきね。(詠嘆)
・残さず食べてね。(念押し) |
かしら | 疑問・雨はもう止んだのかしら。(疑問) |
の | 質問、主張※ 質問は上げ調子、主張は下げ調子で読みます。
・もう片付けたの。(質問・主張) |
さ | 主張、投げやりな気持ち・彼だってできるさ。(主張)
・どうにでもなるさ。(投げやりな気持ち) |
よ | 呼びかけ、念押し・宝くじよ、当たれ。(呼びかけ)
・もう帰れよ。(念押し) |
や | 呼びかけ、勧誘・命令・ポチや、おいで。(呼びかけ)
・まあここに座れや。(勧誘・命令) |
助詞の種類の見分け方
どの助詞が格助詞で、どれが副助詞なのか…と助詞の種類を問う問題が文法の教材でもよく出てきて、塾でも生徒から質問されることが多いです。
「が」は副助詞でも接続助詞でも、「の」は格助詞でも終助詞でも出てくるので、単純にそれぞれの助詞を丸暗記するだけでは種類分けができません。
例外もありますが、接続助詞は読点(、)が続くことが多く、終助詞は文末に使われることが多いので、わかりやすいです。
学校に行ったが、今日は休みだった。(太字が接続助詞)
本当に学校へ行ったんですか。(太字が終助詞)
問題は格助詞と副助詞です。「副助詞は格助詞のようにただつなげるだけでなく、意味をそえる助詞です」と言われてもイマイチわかりづらいです。
中学生が覚えるべき格助詞は10個(から・の・へ・や・で・と・より・を・に・が)、一方副助詞はさらにたくさんある…ということで、10個の格助詞をまるまる覚えてしまうのが早いです。
1. 読点がついている、動詞・助動詞の後にある → 接続助詞
2. 文末についている → 終助詞
3. 格助詞10個かどうか
4. その他は副助詞
格助詞と接続助詞の見分け方
「から」「と」は格助詞にも接続助詞にもありますが、体言・連体形に続いていれば格助詞、動詞などに続いていれば接続助詞と見分けることができます。ただし「と」は引用で用いられるときは用言に続いていても格助詞です。
・僕がトシです。→ 格助詞(主語)
・彼のバラードが好き。→ 格助詞(対象)
・彼はドラムを壊したが、仕方なかった。→ 接続助詞(逆接)
・後で家から電話します。→ 格助詞(場所の起点)
・寒くなったからコートを着よう。→ 接続助詞(原因・理由)
・僕と弟は公園へ遊びに行った。 → 格助詞(並列)
・心配になって電話をすると、本人が出た。→ 接続助詞(結果)
・「電話をする」と兄が言っていた。 → 格助詞(引用)
格助詞の覚え方(語呂合わせ)
格助詞と副助詞を区別するのが若干難しいですが、格助詞の方が圧倒的に数が少ないので格助詞を丸暗記してしまえば副助詞との区別が容易になります。
格助詞は、
から・の・へ・や・で・と・より・を・に・が
の10個が基本です。いろいろな覚え方(語呂合わせ)がありますが、
空の部屋で 戸より鬼が!(から の へ や で と より を に が)
殿、部屋から鬼が出より(ます)!(と の へ や から を に が で より)
こんな風に覚えれば10個の格助詞が簡単に覚えられそうですね。
【問題編】助詞の種類の見分け方
問 次の太字の助詞は格助詞、副助詞、接続助詞、終助詞のどれかを答えましょう。(答えは▼をクリック)
(1) 昨日から休みだ。
(2) 映画がつまらなかったから、途中で帰ってしまった。
(3) 私は森山です。
(4) 私が森山です。
(5) 私も森山です。
(6) 君の靴、かっこいいね。
(7) 昨日見た靴、かっこいいの。
(8) 母と兄はどこかへ出かけたようだ。
(9) 家に帰ると、母はもう帰っていた。
(10) 「もう家に帰る」と弟が駄々をこねた。
まとめ
助詞の性質、格助詞・副助詞・接続助詞・終助詞の4種類の助詞の見分け方、格助詞の覚え方についてざっくりと確認してきましたがいかがでしたでしょうか。
文節に注目して付属語を探せば助詞を簡単に見つけやすくなります。ただし助動詞と混同しないように注意、助詞は活用しません。
どの種類の助詞なのかを見分けるには、まず接続助詞と終助詞が区別できるように。さらに格助詞を覚えれば格助詞と副助詞の区別もできるようになるでしょう。