高校古典、大学受験レベルの古典作品一覧です。
奈良時代から江戸時代までの代表的な古典の文学作品の年表、各作品の成立年と内容をまとめています。文学史をおさらいしておきたい人におすすめです。
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日本の古典文学史 年表
日本の古典文学史の年表です。(成立年には諸説あります。)
成立年 | 作品名 |
712年 | 古事記 |
713年 | 風土記 |
720年 | 日本書紀 |
752年 | 懐風藻 |
7世紀後半~8世紀後半 | 万葉集 |
822年 | 日本霊異記 |
9世紀後半~10世紀半ば | 竹取物語 |
平安時代中期 | 伊勢物語 |
900年 | 菅家文草 |
905年 | 古今和歌集 |
935年 | 土佐日記 |
940年 | 将門記 |
951年 | 大和物語 |
955年~958年ごろ | 後撰和歌集 |
962年 | 多武峰少将物語 |
960~965年 | 平中物語 |
970年 | 宇津保物語 |
975年 | 蜻蛉日記 |
985年 | 往生要集 |
985~995年 | 落窪物語 |
998~1021年 | 御堂関白記 |
1001年 | 枕草子 |
1005年 | 拾遺和歌集 |
1008年 | 源氏物語 和泉式部日記 |
1010年 | 紫式部日記 |
1018年 | 和漢朗詠集 |
1028年~12世紀初め | 栄花物語 |
1057年 | 浜松中納言物語 |
1058~1065年 | 本朝文粋 |
1059年 | 更級日記 |
11世紀後半 | 夜の寝覚 |
1063年 | 陸奥話記 |
1080年 | 狭衣物語 |
1086年 | 後拾遺和歌集 |
1104~1108年 | 江談抄 |
1108年 | 讃岐典侍日記 |
1113年 | 俊頼髄脳 |
1120年 | 大鏡 |
1120年 | 今昔物語集 |
1126年 金葉和歌集 | 金葉和歌集 |
1151年 | 詞花和歌集 |
1170年 | 今鏡 |
1179~1188年 | 宝物集 |
12世紀半ば | とりかへばや物語 |
1180年 | 梁塵秘抄 |
1187年 | 千載和歌集 |
1190年 | 山家集 |
1195年 | 水鏡 |
1196~1202年 | 無名草子 |
1205年 | 新古今和歌集 |
1212年 | 方丈記 無明抄 |
1213年 | 金槐和歌集 |
1212~1215年 | 古事談 |
1214年 | 発心集 |
1213~1219年 | 宇治拾遺物語 |
1220年 | 愚管抄 保元物語 平治物語 |
1221年 | 住吉物語 |
1223年 | 海道記 |
1230年代 | 平家物語 |
1232年 | 建礼門院右京大夫集 |
1235年 | 新勅撰和歌集 小倉百人一首 正法眼蔵随聞記 |
1239~1241年 | 今物語 |
1242年 | 東関紀行 |
1252年 | 十訓抄 |
1254年 | 古今著聞集 うたたね |
1282年 | 十六夜日記 |
1283年 | 沙石集 |
13世紀後半 | とはずがたり |
1300年 | 吾妻鏡 歎異抄 |
1312年 | 玉葉和歌集 |
1330~1331年 | 徒然草 |
1339年 | 神皇正統記 |
1349年 | 太平記 |
1356年 | 菟玖波集 |
1361年 | 曽我物語 |
14世紀後半 | 増鏡 |
1400年 | 風姿花伝 |
1411年 | 義経記 |
1524~1540年 | 新撰犬筑波集 |
1593年 | 伊曽保物語 |
室町時代~江戸時代初期 | 御伽草子 |
1623年 | 醒睡笑 |
1682年 | 好色一代男 |
1685年 | 野ざらし紀行 |
1688年 | 日本永代蔵 |
1691年 | 猿蓑 |
1692年 | 世間胸算用 |
1702年 | おくのほそ道 |
1703年 | 曽根崎心中 |
1704年 | 去来抄 |
1709年 | 笈の小文 |
1711年 | 冥途の飛脚 |
1715年 | 国姓爺合戦 |
1716年 | 折たく柴の記 |
1776年 | 雨月物語 |
1790年 | 古事記伝 |
1797年 | 新花摘 |
1802年 | 東海道中膝栗毛 |
1803年 | 花月草子 |
1814年 | 南総里見八犬伝 |
1815年 | 蘭学事始 |
1819年 | おらが春 |
1825年 | 東海道四谷怪談 |
日本の古典代表作一覧
奈良時代から江戸時代までの代表的な古典作品の、作品名、作者、おおまかな内容です。
奈良時代
奈良時代には漢字を用いて日本語の音を表す万葉がながよく使われていました。
古事記
・712年(和銅5年)
・作者 … 太安万侶(おおのやすまろ)が筆記、稗田阿礼(ひえだのあれ)が暗唱
・日本最古の歴史書・神話、神武天皇~推古天皇、天武天皇の命
・紀伝体(人物、国に関する話が中心)
風土記
・成立年 … 713年(和銅6年)
・作者 … 不明
・地誌、諸国で作成した産物、山や川の由来など、元明天皇の命
日本書紀
・成立年 … 720年(養老4年)
・作者 … 舎人親王ら
・日本最古の正史だが神話も多く取り入れられている、神武天皇~推古天皇、天武天皇の命
・編年体(年代順)
懐風藻
・成立年 … 752年(天平勝宝3年)
・撰者 … 不明(諸説あり?)
・日本最古の漢詩集
・大友皇子、大津皇子、藤原不比等などの詩が収められている
万葉集
・成立年 … 7世紀後半~8世紀後半
・撰者 … 不明
・日本最古の歌集で、三大和歌集の一つです。
・大伴家持、額田王、天武天皇、柿本人麻呂、山上憶良などの詩が収められています。
平安時代
かな文字が使われるようになり、女流文学が盛んになりました。
日本霊異記(にほんりょういき/れいいき)
・成立年 … 822年(弘仁13年)ごろ
・作者 … 景戒
・日本最古の仏教説話集
竹取物語
・成立年 … 9世紀後半~10世紀半ば?
・作者 … 不明
・日本最古の仮名物語(かぐや姫が主人公)
伊勢物語
・成立年 … 不明(平安時代中期か)
・作者 … 不明
・歌物語、在原業平がモデルか?
菅家文草(かんけぶんそう)
・成立年 … 900年(昌泰3年)
・作者 … 菅原道真
・漢詩文集
古今和歌集
・成立年 … 905年(延喜5年)?
・撰者 … 紀友則、紀貫之、凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)、壬生忠岑(みぶのただみね)
・最古の勅撰和歌集(1100首)で、三大和歌集の一つです。
・紀貫之、在原業平、伊勢、小野小町などの歌が収められています。
・国歌「君が代」の歌詞にも
土佐日記
・成立年 … 935年(承平5年)
・作者 … 紀貫之
・日記、女性が書いたという体で仮名文字が使われています。
・冒頭文「男もすなる日記といふものを」で始まります。
将門記(しょうもんき)
・成立年 … 940年(天暦5年)ごろ?
・作者 … 不明
・軍記物語、平将門の乱(935年~940年)に関する記述
大和物語
・成立年 … 951年(天暦5年)ごろ?
・作者 … 不明
・歌物語、恋愛、伝説(説話)
後撰和歌集
・成立年 … 955年(天暦9年)~958年(天徳2年)ごろ?
・撰者 … 源順(みなもとのしたごう)、大中臣能宣、清原元輔(清少納言の父)、紀時文、坂上望城
・勅撰和歌集(1425首)、村上天皇の命
平中物語(へいちゅうものがたり)
・成立年 … 960年(天徳4年) ~965年(康保2年)ごろ
・作者 … 不明
・歌物語、平貞文が主人公
多武峰少将物語(とうのみねしょうしょうものがたり)
・成立年 … 962年(応和2年)ごろ
・作者 … 不明
・日記文学、右少将藤原高光が出家して多武峰の草庵に住むまでを描いた
宇津保物語
・成立年 … 970年(安和3年/天禄元年)ごろ?
・作者 … 不明(源順か?)
・琴(きん)の名人一家の繁栄、求婚、皇位継承などが盛り込まれた、日本最古の長編物語
蜻蛉日記
・成立年 … 975年(天延3年)ごろ?
・作者 … 藤原道綱母(ふじわらのみちつなのはは)
・夫(藤原兼家)との夫婦生活などを書いた日記
・日記中の「なほものはかなきを思へば、あるかなきかの心ちするかげろふの日記といふべし」がその名の由来
往生要集
・成立年 … 985年(寛和元年)
・作者 … 恵心僧都源信(天台宗の僧)
・仏教書
落窪物語
・成立年 … 985年(寛和元年)~995年(正暦6年)ごろ
・作者 … 不明
・継母にいじめられる話、落ちくぼんだ部屋に住まわされたことから。「シンデレラ」との類似点も指摘されています。
御堂関白記(みどうかんぱくき)
・成立年 … 998年(長徳4年)~1021年(治安元年)
・作者 … 藤原道長
・道長自筆の日記、世界記憶遺産に登録されています。
枕草子
・成立年 … 1001年(正暦6年)ごろ
・作者 … 清少納言(中宮定子に仕えた)
・随筆随筆(日本三大随筆の一つです)。
・「をかし」の文学
・第一段「春はあけぼの」「夏は夜」「秋は夕暮れ」「冬はつとめて」が有名です。
拾遺和歌集
・成立年 … 1005年(寛弘3年)ごろ
・撰者 … 花山院
・勅撰和歌集(1351首)、紀貫之、柿本人麻呂、清原元輔、大中臣能宣らの和歌が収められています。
源氏物語
・成立年 … 1008年(寛弘5年)ごろ
・作者 … 紫式部(彰子に仕えた)
・長編物語、「あはれ」の文学
・光源氏が主人公、恋愛、権力闘争などが描かれ、光源氏と関係する多数の女性が描かれています。(藤原道長がモデルという説も)
和泉式部日記
・成立年 … 1008年(寛弘5年)
・作者 … 和泉式部(中宮彰子に仕えた)
・日記(和歌が多い、歌物語風)
紫式部日記
・成立年 … 1010年(寛弘7年)
・作者 … 紫式部(中宮彰子に仕えた)
・日記と手紙、清少納言について「したり顔」と評しています。
和漢朗詠集
・成立年 … 1018年(寛仁2年)ごろ
・撰者 … 藤原公任
・和歌、漢詩、漢文が収められている、国歌「君が代」の歌詞にも使われています。
栄花物語(えいがものがたり)
・成立年 … 1028年( 仁平元年)~12世紀初めごろ
・作者 … 不明(女性、赤染衛門?)
・歴史物語、編年体、正編と続編あり。
・女性により仮名文字で書かれました。藤原道長について称賛するところが多く、大鏡と対照的です。
浜松中納言物語
・成立年 … 1057年(天喜5年)ごろ
・作者 … 不明(菅原孝標女?)
・輪廻転生や恋愛についての物語、主人公は父の生まれ変わりである唐の太子に会いに行きます。
本朝文粋(ほんちょうもんずい)
・成立年 … 1058年~1065年(康平年間)?
・撰者 … 藤原明衡(あきひら)
・漢詩文集、菅原道真、菅原文時、大江匡衡、大江朝綱らの漢詩文が収められています。
更級日記
・成立年 … 1059年(康平2年)ごろ?
・作者 … 菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)
・日記、源氏物語を好んだ作者の、13歳から夫(橘俊通)と死別する51歳までが描かれています。
夜の寝覚(ねざめ)
・成立年 … 不明(11世紀後半?)
・作者 … 不明(菅原孝標女とも伝えられている)
・物語、太政大臣の娘「寝覚の上」の一生が描かれています。
陸奥話記
・成立年 … 1063年(康平6年)ごろ
・作者 … 不明
・軍記物、前九年の役を題材としています。
狭衣物語(さごろもものがたり)
・成立年 … 1080年(承暦4年)ごろ?
・作者 … 不明(六条斎院宣旨[ろくじょうさいいんのせんじ・源頼国女]?)
・堀川関白の一人息子である狭衣の、波乱に満ちた恋愛、帝になるまでの物語です。
後拾遺和歌集
・成立年 … 1086年(応徳3年)
・撰者 … 藤原通俊
・白河天皇の命による勅撰和歌集(1218首)
・和泉式部、赤染衛門、相模、伊勢大輔など女流歌人の歌も多く収録、能因法師、清原元輔らの和歌も収められています。
江談抄(ごうだんしょう)
・成立年 … 1104年(康和6年/長治元年)~1108年(嘉承3年/天仁元年)
・作者 … 藤原実兼(談話:大江匡房)
・大江匡房(おおえのまさふさ)の漢詩文、朝儀公事、音楽に関する説話集
讃岐典侍日記(さぬきのすけにっき)
・成立年 … 1108年(天仁2年)ごろ
・作者 … 讃岐典侍(藤原顕綱の娘、藤原長子)
・堀川天皇の看取り、追慕が中心となった日記です。
俊頼髄脳(としよりずいのう)
・成立年 … 1113年(天永3年)ごろ
・作者 … 源俊頼
・歌論書、「俊頼無名抄」「俊秘抄」ともいいます。
大鏡
・成立年 … 1120年(元永3年)ごろ
・作者 … 不明
・歴史物語(文徳天皇~後一条天皇)、藤原道長の栄華について、大宅世継と夏山繁樹が語り合う形式で物語が進みます。藤原氏に対し、批判的な意見も盛り込まれています。
今昔物語集
・成立年 … 1120年(元永3年)ごろ
・作者 … 不明
・説話集、「今は昔」という書き出しで始まります。
金葉和歌集
・成立年 … 1126年( 天治3年、大治元年)ごろ
・撰者 … 源俊頼
・勅撰和歌集(650首)、白河法皇の命
詞花和歌集(しかわかしゅう)
・成立年 … 1151年( 仁平元年)
・撰者 … 藤原顕輔(あきすけ)
・勅撰和歌集(415首)、崇徳院の命
今鏡
・成立年 … 1170年( 嘉応2年)ごろ
・作者 … 藤原為経?
・歴史物語(後一条天皇~高倉天皇)
宝物集(ほうぶつしゅう)
・成立年 … 1179年(治承3年)~1188年(文治4年)ごろ
・作者 … 平康頼
・仏教説話集
とりかへばや物語
・成立年 … 不明(12世紀半ばごろ?)
・作者 … 不明
・物語、男性と女性が入れ替わり育てられる
梁塵秘抄(りょうじんひしょう)
・成立年 … 1180年(治承4年)ごろ
・編者 … 後白河法皇
・今様(いまよう)歌謡集
千載和歌集(せんざいわかしゅう)
・成立年 … 1187年(文治3年)
・撰者 … 藤原俊成
・勅撰和歌集、後白河法皇の命によるもので、幽玄の心、本歌取りなどの特色が見られます。
鎌倉時代
鎌倉時代には「平家物語」が琵琶法師によって語られ、上の句と下の句をよみ合う連歌(れんが)が広まりました。日記文学がさかんに、軍記物では和漢混交文が用いられるようになりました。
山家集(さんかしゅう)
・成立年 … 不明(平安時代末期・治承・寿永の乱~1190年ごろ?)
・作者 … 西行
・人生の大半を旅で過ごした、西行による自選の和歌集です。
水鏡(みずかがみ)
・成立年 … 1195年(建久6年)ごろ
・作者 … 不明
・歴史物語(神武天皇~仁明天皇)、編年体。
無名草子
・成立年 … 1196年(建久7年)~1202年(建仁2年)ごろ
・作者 … 不明(女性、藤原俊成女か?)
・最古の散文作品に対する文芸評論。
新古今和歌集
・成立年 … 1205年(文治3年)
・撰者 … 藤原定家、源通具(みちとも)、六条有家、飛鳥井雅経、寂蓮
・勅撰和歌集(1978首)、後鳥羽上皇の命によるもので、三大和歌集の一つです。
・幽玄(神秘的で奥深い)と有心(うしん)を歌の心とし、本歌取りが多く用いられているのも特徴です。
・西行、慈円、藤原良経、藤原俊成、式子内親王らの歌が収められています。
方丈記
・成立年 … 1212年(建暦2年)
・作者 … 鴨長明
・随筆(日本三大随筆の一つです)。
・冒頭文の「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」にあるよう、無常観が表されています。
無明抄
・成立年 … 1212年(建暦2年)ごろ
・作者 … 鴨長明
・歌論書。
金槐和歌集
・成立年 … 1213年(建暦3年)ごろ
・作者 … 源実朝
・鎌倉幕府三代将軍源実朝の歌集で、万葉調が特徴です。実朝の和歌の師が藤原定家です。
古事談
・成立年 … 1212 年(建暦2年) ~1215年(建保3年) ごろ
・作者 … 源顕兼
・奈良時代~平安時代中期の説話集。
発心集(ほっしんしゅう)
・成立年 … 不明、1214年(建保2年)ごろ?
・作者 … 鴨長明
・仏教説話集。発心した、遁世(とんせい)者の話などが語られています。
宇治拾遺物語
・成立年 … 不明(1213年~1219年ごろ?)
・作者 … 不明
・説話集。現在でも知られている「わらしべ長者」「すずめの恩返し」「こぶとりじいさん」「芋粥」「絵仏師良秀」などの話が収録されています。
愚管抄(ぐかんしょう)
・成立年 … 1220年(承久2年)
・作者 … 慈円(じえん、天台宗の僧侶)
・歴史書(神武天皇~鎌倉時代)。
保元物語
・成立年 … 不明(1220年ごろ?)
・作者 … 不明
・1156年に起きた保元の乱に関する軍記物語。
平治物語
・成立年 … 不明(1220年ごろ?)
・作者 … 不明
・1159年に起きた平治の乱に関する軍記物語。
住吉物語
・成立年 … 1221年(承久3年)ごろ
・作者 … 不詳
・物語。内容は「落窪物語」に似ており、継子いじめの話です。
海道記
・成立年 … 1223年(貞応2年)
・作者 … 不明
・紀行文(中世三大紀行文の一つです)。
・白河の侘士という隠者が京都~鎌倉を往復したときの記録です。
建礼門院右京大夫集
・成立年 … 1232年(貞永元年)ごろ
・作者 … 建礼門院右京大夫
・和歌集、日記風の歌物語。建礼門院右京大夫は、平清盛の娘である建礼門院徳子に仕えていました。
平家物語
・成立年 … 不明(1230年代か?)
・作者 … 不明
・平家の栄華と没落を描いた軍記物語で、琵琶法師によって語られました。
・冒頭文「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」、「木曽の最期」「扇の的」などが有名です。
・「源平盛衰記」など異本も多く存在します。
新勅撰和歌集
・成立年 … 1235年(文暦2年)
・撰者 … 藤原定家
・勅撰和歌集(1374首)、後堀河天皇の命によるもの。
小倉百人一首
・成立年 … 不明(13世紀前半、1235年ごろ?)
・撰者 … 藤原定家
・定家が京都の小倉山荘の襖の装飾のために撰した和歌百首です。かるた遊びでも有名です。
正法眼蔵随聞記(しょうぼうげんぞうずいもんき)
・成立年 … 1235年~1237年(嘉禎年間)ごろ
・作者 … 懐奘(えじょう)
・道元(曹洞宗開祖)の弟子が道元の説話、問答をまとめたものです。
今物語
・成立年 … 1239年(延応元年)~1241年(仁治2年)
・作者 … 藤原信実
・説話集。和歌や連歌、恋愛などに関する話が記されています。
東関紀行
・成立年 … 1242年(仁治3年)
・作者 … 不明
・紀行文。京都の東山から鎌倉までの旅路での体験と感想が記され、中世三大紀行文の一つです。
十訓抄(じっきんしょう)
・成立年 … 1252年(建長4年)
・作者 … 不明
・説話集。教訓的な内容が多く、儒教思想が表れています。
古今著聞集
・成立年 … 1254年(建長6年)
・作者 … 橘成季
・説話集。王朝時代の話が多く、鎌倉時代を批判的に見ているのがうかがえます。
うたたね
・成立年 … 1254年(建長6年)
・作者 … 阿仏尼(あぶつに)
・日記、紀行文。失恋して出家した、若い頃の回想録です。
十六夜日記
・成立年 … 1282年(弘安5年)
・作者 … 阿仏尼(あぶつに)
・日記、紀行文。京都から鎌倉へ行ったときの道中記、中世三大紀行文の一つです。
沙石集
・成立年 … 1283年(弘安6年)
・作者 … 無住(むじゅう)
・説話集。軽妙、通俗的な内容で仏教を説いています。
とはずがたり
・成立年 … 不明(13世紀後半)
・作者 … 後深草院二条(ごふかくさいんのにじょう)
・日記・紀行文。後深草院の寵愛を受けた二条の恋愛、旅でのことが描かれています。
吾妻鏡
・成立年 … 1300年(元徳2年)ごろ?
・作者 … 不明
・歴史書。鎌倉幕府初代将軍頼朝~6代宗尊親王まで。
歎異抄
・成立年 … 1300年(元徳2年)ごろ?
・作者 … 唯円
・仏教書。浄土真宗の開祖、親鸞から聞いた話がまとめられています。異端を説くものが多かったため、「歎異抄」の名がつけられました。
玉葉和歌集
・成立年 … 1312年(正和元年)
・撰者 … 京極為兼
・勅撰和歌集(約2800首)。伏見天皇の命でつくられた和歌集で、勅撰和歌集の中でも最大数の歌が収められています。
徒然草
・成立年 … 1330年(元徳2年)~1331年(元弘元年)ごろ
・作者 … 吉田兼好(兼好法師)
・随筆。日本三大随筆の一つです。
・序段「つれづれなるままに、日ぐらし硯に向かひて、…」が有名です。
室町時代・安土桃山時代
室町時代に入ると太平記が「太平記読み」に語られ、これが人形浄瑠璃の成立につながります。御伽草子が広まり、庶民の間にも文芸が広まりました。
神皇正統記(じんのうしょうとうき)
・成立年 … 1339年(暦応2年)
・作者 … 北畠親房
・南朝(吉野の朝廷)の正当性を説いたものです。室町時代初期は朝廷が北朝と南朝に分かれていました。
太平記
・成立年 … 不明、1349年(貞和5年/正平4年)ごろ?
・作者 … 不明
・軍記物語、正中の変(1324年)~足利義満が3代将軍就任(1367年)までの、鎌倉幕府滅亡と建武の新政、南北朝時代が描かれています。
菟玖波集(つくばしゅう)
・成立年 … 1356年(文和5年/正平11年)
・撰者 … 二条良基、連歌師の救済(ぐさい)が協力
・準勅撰の連歌集
曽我物語
・成立年 … 不明、1361年(康安元年/正平16年)ごろ?
・作者 … 不明
・軍記物語、曽我兄弟の生い立ちから父の仇討ちをするまでが描かれています。
増鏡(ますかがみ)
・成立年 … 不明、14世紀後半?
・作者 … 不明
・歴史物語、四鏡の最後の作品にあたり、後鳥羽天皇の即位から後醍醐天皇の時代までを中心に編年体で描かれています。
風姿花伝
・成立年 … 1400年(応永7年)
・作者 … 世阿弥(ぜあみ)
・能楽論書、父の観阿弥の教えに基づいてつくられました。「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」「初心忘るべからず」が有名です。
義経記(ぎけいき)
・成立年 … 不明、1411年(応永18年)ごろ?
・作者 … 不明
・軍記物語。源義経の一生を中心に描かれています。
新撰犬筑波集
・成立年 … 不明、1524年(文永4年)~1540年(天文9年)ごろ
・撰者 … 山崎宗鑑
・俳諧連歌集。俳諧連歌は余興で作られ、滑稽な要素のある連歌のことです。
伊曽保物語(いそほものがたり)
・成立年 … 1593年(文禄2年)
・訳者 … ハビアン
・仮名草子。イソップ物語を宣教師が翻訳したものです。天草版が出版された後、江戸時代にも出版され普及しました。
御伽草子(おとぎぞうし)
・成立時期 … 室町時代~江戸時代初期
・作者 … 不明
・短編物語集。「浦島太郎」「ものぐさ太郎」「一寸法師」「酒呑童子」「鉢かづき」などが収録されています。
江戸時代
江戸時代は仮名草子、浮世草子が生まれ、人形浄瑠璃が人気になりました。
連歌から独立した俳諧が流行し、五・七・五の形式で世間を風刺した内容の川柳が生まれました。
醒睡笑(せいすいしょう)
・成立年 … 1623年(元和9年)
・作者 … 安楽庵策伝(あんらくあんさくでん)
・噺本。笑い話を僧である安楽庵策伝が集めたもので、落語の原形になったものも多いです。
好色一代男
・成立年 … 1682年(天和2年)
・作者 … 井原西鶴
・浮世草子。主人公世之介(よのすけ)の奔放な女性との交流が描かれています。
野ざらし紀行
・成立年 … 1685年(貞享2年)
・作者 … 松尾芭蕉
・俳諧紀行文。芭蕉は江戸から伊賀上野を門人と旅しました。
・芭蕉の句「野ざらしを心に風のしむ身かな」が由来です。
日本永代蔵
・成立年 … 1688年(貞享5年)
・作者 … 井原西鶴
・浮世草子。金持ちになった商人の姿が描かれています。
猿蓑
・成立年 … 1691年(元禄4年)
・編者 … 向井去来・野沢凡兆
・松尾芭蕉とその門人たちの俳諧集。
世間胸算用(せけんむねさんよう)
・成立年 … 1692年(元禄5年)
・作者 … 井原西鶴
・浮世草子。大晦日の日の貸し借りに関わる町人の悲喜劇を描いたものです。
おくのほそ道(奥の細道)
・成立年 … 1702年(元禄15年)
・作者 … 松尾芭蕉
・俳諧紀行文。芭蕉は門人の曾良とともに、江戸から奥州・北陸道を旅しました。
・序文「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」、「閑さや 岩にしみ入る 蝉の聲」「五月雨を あつめて早し 最上川」などが有名
曽根崎心中
・成立年 … 1703年(元禄16年)
・作者 … 近松門左衛門
・浄瑠璃。醤油屋平野屋の手代徳兵衛と遊女お初が、曽根崎天神の森で心中する物語です。
去来抄
・成立年 … 1704年(宝永元年)※刊行は1775年(安永4年)
・作者 … 向井去来
・俳諧論。去来は松尾芭蕉の門人です。
笈の小文(おいのこぶみ)
・成立年 … 1709年(宝永6年)
・作者 … 松尾芭蕉
・俳諧紀行文。芭蕉が伊賀へ帰郷したときのことを書いた紀行文です。
冥途の飛脚
・成立年 … 1711年(正徳元年)
・作者 … 近松門左衛門
・浄瑠璃。飛脚屋の横領事件を描いたものです。
国姓爺合戦(こくせんやかっせん)
・成立年 … 1715年(正徳5年)
・作者 … 近松門左衛門
・浄瑠璃。明の復興運動を行った鄭成功(ていせいこう)をモデルにしたものです。
折たく柴の記
・成立年 … 1716年(享保元年)
・作者 … 新井白石
・正徳の治を行った新井白石の自叙伝です。
雨月物語
・成立年 … 1776年(安永5年)
・作者 … 上田秋成
・読本。中国の古典をもとにした怪異小説です。
古事記伝
・成立年 … 1790年(寛政2年)
・作者 … 本居宣長
・国学書。古事記の注釈書です。
新花摘
・成立年 … 1797年(寛政9年)
・作者 … 与謝蕪村
・俳諧句文集。
東海道中膝栗毛
・成立年 … 1802年(享和2年)
・作者 … 十返舎一九
・滑稽本。弥次郎兵衛と喜多八が伊勢参りに行く東海道中でのおもしろおかしい騒動を描いたものです。
花月草子
・成立年 … 1803年(享和3年)
・作者 … 松平定信
・擬古文。寛政の改革を行った松平定信が、老中を辞職後に書いた随筆です。
南総里見八犬伝
・成立年 … 1814年(文化11年)
・作者 … 滝沢馬琴(曲亭馬琴)
・読本。仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の8つの玉を持つ八犬士が、里見家再興のために力を合わせて戦う物語です。水滸伝その他の作品がモデルになっています。
蘭学事始
・成立年 … 1815年(文化12年)
・作者 … 杉田玄白
・手記。「解体新書」を書いた杉田玄白の回想記で、大槻玄沢に送ったものです。
おらが春
・成立年 … 1819年(文政2年)刊行は1852年(嘉永5年)
・作者 … 小林一茶
・俳諧句文集。
東海道四谷怪談
・成立年 … 1825年(文政8年)
・作者 … 鶴屋南北
・歌舞伎狂言。
まとめ
日本の古典代表作について確認してきました。
(奈良時代)万葉がなを用いた歴史書、歌集など
(平安時代)勅撰和歌集、日記文学、かな文字が使われるようになり、女流文学がさかんに
(鎌倉時代)琵琶法師により平家物語が語られる、連歌、和漢混交文を用いた軍記物
(室町時代・安土桃山時代)人形浄瑠璃、御伽草紙など、文芸が庶民に広がり始める
(江戸時代)俳諧、川柳が流行、人形浄瑠璃や歌舞伎も人気に