今回は文節の分け方について学習します。すでに学校で分節に分ける方法を学習している人は、「ネ」や「ヨ」で文を区切ればいいよ、と習っているかもしれません。簡単な問題もありますが、これってどこで区切れるんだろう?と悩んでしまうような問題もありますよね。
この記事では文節の分け方の基本とコツについて説明、問題も作りました。文節の分け方がいつもわからなくなる、という人はぜひ参考にしてくださいね。
文節の分け方のコツ
意味がわかる単位で区切ったものが文節です。分け方のコツはネで文を分けることです。なるべく多く「ネ」を入れるようにします。(ネの代わりにサやヨを入れてもOKです。)
私の母がこのクッキーを作りました。
この文を「ネ」を入れて文を分けてみると「私の母が(ネ)このクッキーを(ネ)作りました。」のように分けることもできますが、分けられるところがあればできるだけ分けるようにします。
私の(ネ)母が(ネ)この(ネ)クッキーを(ネ)作りました。
これ以上分けると文がおかしくなるのでここでストップ。つまり、
私の/母が/この/クッキーを/作りました。
のように分節に分けられることになります。
文節を分けるとき、ただネやヨで分けるだけでなく、他にも気をつけるべきことがあります。
【文節の分け方のコツ】
- 一つの文節に自立語は一つ
- 補助の関係では文節を分ける
- 「ない」は形容詞なら文節に分ける、助動詞は分けない
- 複合語は文節に分けない
文節の中は自立語が一つ
上の例文にもありましたが、なぜ「このクッキーを(ネ)」ではダメで、「この(ネ)クッキーを(ネ)」ではないといけないのでしょうか。実は一つの文節に自立語は一つというルールがあります。
自立語とは単独で意味がわかるものです。(意味がわからないものは付属語。)
「このクッキーを」の場合「この(連体詞)」も「クッキー(名詞)」も自立語です。「を(助詞)」は付属語です。「このクッキーを(ネ)」という文節の分け方だと自立語が二つになってしまいます。
だから「この(ネ)クッキーを(ネ)」と自立語が一つずつになるよう、「ネ」を2回入れます。
自立語の例
名詞(犬、机、富士山)、動詞(食べる、遊ぶ、笑う)、形容詞(かわいい、おもしろい)、形容動詞(静かだ、元気だ)、副詞(ゆっくり、だんだん、かなり)接続詞(しかし、かならず)、連体詞(この、あの、その)、感動詞(はい、もしもし、あら)など
付属語は自立語にくっついて、意味を添えるものです。
付属語の例
助詞(例 が、の、に、より)、助動詞(例 ない、た、ます、う)
「私は水泳ができない」を文節に分けると、
私は/水泳が/できない。(/は文節の区切り、赤字が自立語、黒字が付属語)
となります。一つの文節の中に自立語が一つしか入っていません。
連体詞や感動詞でも文節を分けます。
えっ、/そんな/ことが/あったとは/知らなかった。(えっ:感動詞、そんな:連体詞)
補助の関係では文節を分ける
補助の関係とは、後の文節が前の文節に軽く意味を添えているものです。「食べてみる」「歩いている」「教えてもらう」などが補助の関係です。
下の文を文節に分けるとどうなるでしょうか。
話題のお菓子を食べてみた。
「食べて・みた」は補助の関係で、この「みた」は「見た」とは異なり、食べるという動作に意味を添えています。
このような補助の関係は文節に分けない方が良いのか?という質問をよく受けますが、(一つの文節に一つの自立語が原則なので)補助の関係でも文節は分けます。
話題の/お菓子を/食べて/みた。
「ない」の前で文節を分けるときがある?
次の文を文節に分けてみましょう。
いつも朝食は食べない。
「いつも朝食は食べない」の「ない」は付属語(助動詞)なので、「食べ/ない」のように分けられません。
いつも/朝食は/食べない。
ところが、次のような文ではどうでしょうか。
勉強はちっとも楽しくない。
そんなこと言わないで…というツッコミはさておき、上の文の「楽しくない」は文節に分けないと間違いになります。
勉強は/ちっとも/楽しく/ない。
なぜ、
「食べない」→○食べない
「楽しくない」→×楽しくない(○楽しく/ない)
になるのかというと、「楽しくない」の「ない」は形容詞です。上でも説明した「補助の関係」で使われている「ない」で、このような形容詞「ない」は補助形容詞(形式形容詞)と呼ばれています。
形容詞と助動詞のどちらの「ない」か見分けにくいときは、間に「は」を入れられるかどうかで判断します。
食べない→食べはない(この「ない」は形容詞ではない)
楽しくない→楽しくはない(この「ない」は形容詞)
複合語は文節に分けない
次の文を文節に分けてみましょう。
雪がしんしんと降り積もる。
どうでしょうか?「降り積もる」は「降る」と「積もる」の2つの自立語があるから文節に分けないと…とは考えません。「降り積もる」は複合語で一つの単語になっているので、文節に分けません。
雪が/しんしんと/降り積もる。
「勉強する」「近寄る」「蒸し暑い」なども複合語なので、一つの文節になります。
【問題編】文節の分け方
次の文を文節に分けてみましょう。
問1 ずっと欲しかったあの本が置いてあった。
問2 なかなか前に進めない。
問3 車内に荷物を持ち込んだ。
問4 母が焼いたクッキーを食べてみた。
問5 テストまで毎日3時間勉強する。
問6 今日のテレビはおもしろくない。
問7 おや、どこかで見たことがあるなあ。
問8 見上げると一羽の鳥が空を飛んでいた。
問9 試合に負けたけれど、悲しくはなかった。
問10 その物体は太陽のようにまぶしかった。
文節の分け方のコツ【ポイントまとめ】
文節の分け方、コツがつかめたでしょうか。ポイントを以下にまとめました。
- ネを入れて分ける。
- 文節は自立語から始まる。
- 一つの文節に一つの自立語。
- 補助の関係は文節に分ける。
- 「ない」に注意する(助動詞は分けない、形容詞は分ける)。
- 複合語は文節に分けない。
上の文節分けのポイントが理解でき、定着すればたいていの文節分け問題に対応できるはず。上のポイントと照らし合わせながら、問題を実際に解くことで文節分けがマスターできるでしょう。
文節の関係については次の記事を参考にしてみてください。