今回は古文の完了の助動詞、「つ」「ぬ」の活用・接続・意味に関するまとめと問題です。
完了の助動詞、「つ」「ぬ」の活用表と接続のしかた、「つ」と「ぬ」の意味の違いについても確認します。
完了の助動詞「つ」「ぬ」
完了の助動詞「つ」「ぬ」の活用と接続、意味を確認していきます。
「つ」「ぬ」の活用表
完了の助動詞「つ」「ぬ」の活用表です。
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
つ | て | て | つ | つる | つれ | てよ |
ぬ | な | に | ぬ | ぬる | ぬれ | ね |
「つ」の意味と活用・接続 例
助動詞「つ」は完了「~してしまった」、強意「きっと~、~にちがいない」、並列「~たり~たりして」の意味があり、活用語の連用形に接続します。
・戻る+つ+ば [仮定条件]→戻りてば(未然形)[戻ってしまったので]
・語る+つ+む→ 語りてむ(未然形)[きっと語りましょう]
・見る+つ+けり→ 見てけり(連用形)[見てしまった]
・行く+つ+べし → 行きつべし(終止形)[きっと行くだろう]
・行く+つ+戻る+つ → 行きつ戻りつ(終止形)[行ったり戻ったりして]
・知る+つ+こと → 知りつること(連体形)[知っていたこと]
・知る+つ+ども → 知りつれども(已然形)[知っていたけれども]
・あり+つ+ば [確定条件] → ありつれば(已然形)[あったので]
・とどむ+つ [命令] → とどめてよ(命令形)[とどめてくれよ]
「つ」が推量の助動詞と使われるとき、強意の意味になります。
【強意】~つべし、~てむ、~てまし
「ぬ」の意味と活用・接続 例
助動詞「ぬ」は完了「~してしまった」、強意「きっと~、~にちがいない」、並列「~たり~たりして」の意味があり、活用語の連用形に接続します。
・戻る+ぬ+ば [仮定条件]→戻らなば(未然形)[戻ってしまったので]
・語る+ぬ+む→ 語りなむ(未然形)[きっと語りましょう]
・見る+ぬ+けり→ 見にけり(連用形)[見てしまった]
・行く+ぬ+べし → 行きぬべし(終止形)[きっと行くだろう]
・行く+ぬ+戻る+ぬ → 行きぬ戻りぬ(終止形)[行ったり戻ったりして]
・知る+ぬ+こと → 知りぬること(連体形)[知っていたこと]
・知る+ぬ+ども → 知りぬれども(已然形)[知っていたけれども]
・あり+ぬ+ば [確定条件] → ありぬれば(已然形)[あったので]
・とどむ+ぬ [命令] → とどめね(命令形)[とどめてくれよ]
「ぬ」が推量の助動詞と使われるとき、強意の意味になります。
【強意】~ぬべし、~なむ、~なまし
打ち消しの助動詞「ず」の連体形「ぬ」と混同しないよう注意しましょう。
打ち消しの助動詞「ず」と、「ぬ」の識別については次の記事が参考になります。
「つ」と「ぬ」意味の違い
完了の助動詞「つ」「ぬ」はいずれも完了、強意、並列の意味がありますが、「つ」が主体の意図的な動作であるのに対し、「ぬ」は自然的、無意識的な動作になります。そのため「つ」は他動詞、「ぬ」は自動詞に続くことが多いです。
【問題編】助動詞「つ」「ぬ」の活用・意味
次の問いに答えましょう。
問1 次の助動詞の活用表を完成させましょう。
例語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
つ | |
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ぬ | |
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問2 [ ]内の現代語の意味になるように、( )内の助動詞を適切な形に活用させましょう。
(1) 思ひ( つ )む[きっと思うだろう]
(2) あり( ぬ )ども[あったけれども]
(3) 知り( つ )こと[知っていたこと]
(4) 立ち( ぬ )[立ちなさい]
(1) 知りぬれども
(2) 語りてむ
(3) 知りつること
(4) 行きつ戻りつ
(5) 語りなむ
まとめ
・完了の助動詞「つ」の活用は「て、て、つ、つる、つれ、てよ」で連用形接続
・完了の助動詞「ぬ」の活用は「な、に、ぬ、ぬる、ぬれ、ね」で連用形接続
・「つ」「ぬ」ともに完了と強意、並列の意味がある
・「~つべし、~ぬべし、~てむ、~なむ、~てまし、~なまし」の形で強意