今回は古文の反実仮想の助動詞「まし」の活用・接続・意味に関するまとめと問題です。
反実仮想の助動詞「まし」の活用表と接続のしかた、「ませば~まし」「せば~まし」などの反実仮想の形も確認します。
反実仮想の助動詞「まし」
助動詞「まし」の活用と接続、意味などを確認していきます。
「まし」の活用表と接続
反実仮想の助動詞「まし」の活用表です。未然形は「ず/む/ば」、連用形は「き/けり/て」、連体形は体言、已然形は「ども/ば」に続く形です。
基本形 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
まし | (ませ)ましか | ○ | まし | まし | ましか | ○ |
「まし」の意味と接続
助動詞「まし」は反実仮想「もし~としたら…だろうに」、ためらいの意志「~しようかしら」、希望「~したら良いのに」、推量「~だろう」と訳します。活用語の未然形に接続します。
反実仮想は「~ませば…まし」「~せば…まし」などの形、ためらいの意志は「いかに」「や」「なに」などの疑問語が使われます。
「まし」の活用・接続例
・見る+まし+ば [仮定] → 見ませば(未然形)[見たならば]
・言ふ+まし+ば [仮定] → 言はましかば(未然形)[言うならば]
・いとほし+まし [言い切り] → いとほしからまし(終止形)[気の毒だろうに]
・いかに+言ふ+まし [言い切り] → いかに言はまし(終止形)[どう言おうかしら]
・泣く+まし [言い切り] → 泣かまし(終止形)[泣くだろう]
・うれし+まし+を → うれしからましを(連体形)[うれしいだろうに]
・~こそ+あはれなり+まし [係り結び] → ~こそあはれならましか(已然形)[あはれだろうに]
反実仮想「まし」の例文
助動詞「まし」が反実仮想「もし~としたら…だろうに」で用いられるとき、「ませば・せば・ましかば・ば」とともに下のような形で使われます。
【反実仮想の形】
・~せば、…まし
→ 世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし(在原業平)[出典:古今和歌集]
・~ませば、…まし
→ 聞かませば くちをしからまし
・~ば、…まし
→ 言はば帰らまし
・~ましかば、…まし
→ 聞かましかばくやしからまし
【問題編】反実仮想の助動詞「まし」の活用・意味
次の問いに答えましょう。(答えは▶をクリック)
問1 反実仮想の助動詞「まし」の活用表を完成させましょう。
例語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 |
まし |
問2 [ ]内の現代語の意味になるように、( )内の助動詞や動詞を適切な形に活用させましょう。
(1) 聞か( ①まし )ばうれしから( ②まし )[聞いたならうれしいだろうに]
(2) ( いとし )まし[気の毒だろうに]
(3) うれしから( まし )を [うれしいだろうに]
(4) 花こそ美しから( まし )[花は美しいなあ]
問3 次のア・イの下線部で、反実仮想の意味で使われているものを選びなさい。
ア いかに言はまし。
イ 聞かませばかなしからまし。
まとめ
・助動詞「まし」の活用は「ませ・ましか、○、まし、まし、ましか、○」で未然形に接続
・助動詞「まし」の意味は反実仮想「もし~としたら…だろうに」、ためらいの意志「~しようかしら」、希望「~したら良いのに」、推量「~だろう」
・反実仮想は「~ませば・せば・ましかば・ば…まし」の形で使われる
・ためらいの意志は「いかに」「や」「なに」などの疑問語とともに使われる