古典文法 比況の助動詞「ごとし」まとめと問題

古文文法
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今回は古文の比況の助動詞、「ごとし」に関するまとめと問題です。「ごとし」の活用表と意味、接続、活用の例について確認します。

「ごとし」といえば風林火山の「~のごとく・ごとし」や、現在でも「風のごとく去って行った」「私ごときが…」「お前ごときに」と使われることがあり、意味はイメージしやすいですね。

古文ではどのように使われているのか、見ていきましょう。

比況の助動詞「ごとし」

比況の助動詞「ごとし」の意味や活用を確認していきます。「ごとし」は漢文調の文で使われています。

「ごとし」の活用表

比況の助動詞「ごとし」の活用表です。形容詞ク活用型の活用です。

ごとし(ごとく)ごとくごとしごとき
 
語幹の「ごと」のみで用いられることもあります。

「ごとし」の接続と活用の例

助動詞「ごとし」は体言、活用語の連体形、助詞に接続します。体言のときは「~ごとし」連体形のときは「~ごとし」という形でよく使われています。

・蜘蛛ごとき(体言+「ごとし」連体形)

・龍のごとく(体言+の+「ごとし」連用形)

・飛ぶがごとし(連体形+が+「ごとし」終止形)

「ごとし」の意味

助動詞「ごとし」は比況例示の意味があります。

・比況「~のようだ、~のとおりだ」

夢のごとし(夢のようだ)咲くがごとし

・例示「~のような」※ 例示では連体形「ごとき」が使われます

いも、栗ごときものを(いもや栗のようなものを)

「~のごとし」といえば風林火山!

「動かざること山のごとし」といえば、武田信玄の軍旗に書かれていたとされる「風林火山」がありますね。

軍旗には「疾如風徐如林侵掠如火不動如山」(「孫子」からの引用)と書かれており、

疾(はや)きこと風のごとく、徐(しず)かなること林のごとく、侵掠(しんりゃく)すること火のごとく、動かざるごと山のごとし

と読まれています。「攻めるときは風のように速く襲い、好機を待つときは敵にわからぬよう林のように静かに悠然とし、侵攻するときは火のように攻め、守るときは山のように動かず、落ち着いて陣営を守る」という戦い方の基本を表しています。

なお「風林火山」は後に呼ばれるようになった通称とされています。

語幹「ごと」で副詞的に

「ごとし」の語幹である「ごと」のみで、副詞的に用いられることもあります。

梅の花 今咲けるごと 散り過ぎず わが家の園に ありこせぬかも (小野老) [出典:万葉集]

(梅の花が今咲いているように散り果ててしまわないで 我が家の庭にいつまでも咲いていてほしいものよ)

【問題編】助動詞「ごとし」の活用・意味

問1 助動詞「ごとし」の活用表を完成させましょう。(答えは▼をクリックして見られます)

例語未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ごとし

(ごとく)

ごとく

ごとし

ごとき

問2 次のア~ウの下線部の意味は比況例示のどちらの意味になるか答えましょう。(答えは▼をクリックして見られます)

ア 飛ぶがごとく

イ 太陽のごとし

ウ 犬、馬のごとき動物

問3 次のア、イの(   )の中に入れるのはのどちらが適切か答えましょう。(答えは▼をクリックして見られます)

ア  散る(   )ごとし

イ 花(   )ごとし

まとめ

・助動詞「ごとし」の活用は「(ごとく)、ごとく、ごとし、ごとき、○、○」

・接続は体言、活用語の連体形、助詞(体言+の+ごとし、連体形+が+ごとし)

・助動詞「ごとし」は比況と例示の意味がある

・語幹「ごと」も副詞的(連用修飾)に用いられる

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