今回は過去・完了・存続の助動詞「た」について学習します。助動詞「た」の意味と活用、「た」と「だ」の使い分け接続について確認、断定の助動詞「だ」との違いについても確認していきます。
助動詞「た」の意味
助動詞「た」には主に過去、完了、存続の意味があります。接続する動詞によって「た」の代わりに「だ」が使われます。
過去
過去にしたことを伝えたいとき、助動詞「た」が使われます。
・遊びに行く。→ 遊びに行った。
・このカレーは辛い。→ 昼食のカレーが辛かった。
・本を読む。→ 本を読んだ。
完了
動作がちょうど今終わったこと(完了)を表現したいとき、助動詞「た」が使われます。「今~した」「ようやく~した」と言い換えられるときは、完了の意味と考えられます。
・手紙を書き終えた。(手紙を今書き終えた。)
・春がようやく来た。
存続
存続とは過去に完了した動作が続いている状態のことです。存続の意味では「~ている」と言い換えられ、後に体言が続くことが多いです。
・壊れた自転車があった。(壊れている自転車)
・破れた本を見つけた。(破れている本)
その他の意味
その他にも助動詞「た」には確認、発見、命令、勧誘などの意味もあります。
・今日が試験だったね。(確認)
・(探していた本が)ここにあった。(発見)
・残った、残った。(命令)
助動詞「た」と「だ」の使い分け
動詞に「た」をつけて「書く→書いた」のように言うことができますが、「読む→読んた」とは言いませんよね。ガ行、ナ行、バ行、マ行の五段活用動詞では「た」を使わず「だ」を使います。
・泳ぐ→泳いだ
・読む→読んだ
・遊ぶ→遊んだ
・挟む→挟んだ
ガ行五段活用の動詞はイ音便、ナ行、バ行、マ行五段活用の動詞では撥音便が見られます。
関連記事:イ音便・ウ音便・撥音便・促音便について
助動詞「た」「だ」の活用表・活用形
助動詞「た」「だ」活用表
未然形~う | 連用形 | 終止形 | 連体形~とき | 仮定形~ば | 命令形 | |
た | たろ | ○ | た | た | たら | ○ |
だ | だろ | ○ | だ | だ | だら | ○ |
助動詞「た/だ」は特殊な活用をします。
各活用形の例を見てみましょう。
・もう本を読んだろう。(未然形)
・宿題をさっさと終わらせた。(終止形)
・広島に行ったのは、私がまだ小学生だったとき。(連体形)
・用が済んだら(ば)、さっさと帰りなさい。(仮定形)
関連記事:動詞と活用の種類まとめと問題
助動詞「た」の接続
過去・完了・存続の助動詞「た/だ」は、動詞・形容詞・形容動詞・助動詞(※)の連用形に接続します。
※すべての助動詞に接続するわけではありません。(「まい」「ぬ」などには接続できない)
・弟と一緒に遊んだ。(動詞「遊ぶ」連用形+た)
・顔色が青白かった。(形容詞「青白い」連用形+た)
・彼は元気だった。(形容動詞「元気だ」連用形+た)
・今日はあまり勉強しなかった。(助動詞「ない」連用形+た)
・もうご飯を食べました。(助動詞「ます」連用形+た)
関連記事:助動詞「ない」「ぬ」まとめと問題
紛らわしい他の「だ」との見分け方!
「だ」に関して他の助動詞や品詞と見分ける問題が出題されることがあります。見分け方について確認しておきましょう。
断定の助動詞「だ」との区別は?
・彼の趣味は読書だ。/彼の趣味は読書だけだ。
・彼はよく本を読んだ。
断定の助動詞「だ」は体言、助詞「の」「だけ」などに接続します。一方過去・完了・存続の意味で使う助動詞「だ」は用言や助動詞に接続します。
体言、助詞(の、だけ他)+だ → 断定
用言、助動詞 +だ → 過去・完了・存続
その他の助動詞「そうだ」「ようだ」の一部とも間違えないようにしましょう。
形容動詞の末尾「だ」との区別は?
「元気だ」「きれいだ」などの形容動詞も「だ」で終わるので、間違えないようにしてください。
・彼は元気だ。(形容動詞「元気だ」の一部)
・彼は元気に遊んだ。(過去の助動詞「だ」)
過去・完了・存続の助動詞「だ」と形容動詞を見分けるには「~な」と言い換えられるかで確認しましょう。
「だ」が「な」に言い換えられれば形容動詞
「~だ」を見分ける手順
過去・完了・存続の助動詞「だ」は用言、助動詞の連用形に接続することからも見分けられます。
その他は
1.「だ」の前に「そう」「よう」がある、推定・様態・伝聞などの意味になっている
→ 助動詞「そうだ」「ようだ」
2. 「だ」の前が体言や助詞の「の」「だけ」
→ 断定の助動詞「だ」
3.「だ」を「な」と言い換えられる
→形容動詞の一部
などが見分けるポイントになります。
関連記事:断定の助動詞「だ」まとめと問題
【問題編】助動詞「た」の練習問題
問1 次の下線部の助動詞「た(だ)」は過去・完了・存続・確認・命令のどの意味で使われているか答えなさい。
(1) くすんだ色の服を着ている。
(2) 映画を見終わった。
(3) 当時は毎日サッカーの練習をしていた。
(4) さあ、寝た、寝た。
(5) 今日はお休みでしたね。
問2 次の文の下線部の助動詞「だ」と同じ意味・用法が使われているのは、ア~エの下線部のどれか。
昨日はあの岸まで泳いだ。
ア 海に浮かんだ浮き輪が流されていく。
イ 明日は大雨になるそうだ。
ウ みんなではしゃいだ。
エ 彼が新しい先生だ。
まとめ
過去・完了・存続の助動詞「た」について学習してきましたが、いかがでしたでしょうか。
一部の動詞に接続するときは「た」の代わりに「だ」を使います。意味や接続する活用形は変わりません。また助動詞「た」は過去・完了・存続以外にも確認や命令、発見など多数の意味もあります。
意味を見分ける問題、「だ」の識別問題がテストなどでよく狙われるところです。意味の見分け方、他の助動詞や品詞との見分け方についても整理しておきましょう。