中学国語文法 様態・伝聞・推定の助動詞「そうだ・ようだ・らしい」まとめと問題

文法(現代文)
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今回は助動詞の「そうだ・ようだ・らしい」を扱います。助動詞「そうだ・ようだ・らしい」の意味と活用・接続について、またそれぞれの助動詞の意味の違いについても解説します。最後に助動詞「そうだ・ようだ・らしい」について理解できたかどうか、練習問題でチェックしてみましょう。

助動詞「そうだ」の意味・活用・接続

助動詞「そうだ」の意味、活用表、活用形、接続について解説します。「~そう」というだ抜き言葉、「~なさそうだ」「良さそうだ」のような言い方についても触れています。

助動詞「そうだ」の意味

助動詞「そうだ」には様態伝聞の意味があります。

様態 … ものの様子や態度。(例 雨が降りそうだ。)

伝聞… 人から伝え聞いたこと。(例 雨が降るそうだ。)

「雨が降りそうだ」は、空の様子を見て自分でも他の人でもそのように判断できるときに、一方「雨が降るそうだ」は、人から聞いたり天気予報で確認したことを伝えたいときに言います。(このように「そうだ」は意味によって接続が変わります。)

「そうだ」を「そう」と言うことも

彼は元気そうだ。→ 彼は元気そう。

雨が降りそうだ。→ 雨が降りそう。

上の文のように「だ」を抜いて言うことがあります。これは特に様態の意味の「そうだ」で「だ」抜きになることがあります。

従来伝聞の意味の「そうだ」は「そう」とは言いませんでしたが、「雨が降るそうよ。」などと「だ」抜きの表現も聞かれるようになってきました。

助動詞「そうだ」の活用表・活用形

「そうだ」活用表

未然形~う 連用形~た・ある・なる 終止形 連体形~とき 仮定形~ば 命令形
そうだ(様態) そうだろ そうだっそうで

そうに

そうだ そうな そうなら
そうだ(伝聞) そうで そうだ

助動詞「そうだ」は様態と伝聞で活用が変わります。いずれも形容動詞型の活用をします。

各活用形を使った例を見てみましょう。

様態の「そうだ」

・彼ならこの難問も解けそうだろう。(未然形)

・今にも雪になりそうだった。(連用形)

・このままでは迷惑になりそうである。(連用形)

・危うく転びそうになる。(連用形)

・すべりやすくて転びそうだ。(終止形)

・雨になりそうなときは、傘を持っていくのがよい。(連体形)

・雨になりそうなら(ば)、傘を持っていきなさい。(仮定形)

伝聞の「そうだ」

・教授がおいでになるそうである。(連用形)

・母は出かけたそうだ。(終止形)

助動詞「そうだ」の接続

様態と伝聞では「そうだ」の接続は異なります。

様態の「そうだ」… 動詞、助動詞「せる・させる」「れる・られる」の連用形

助動詞「ない・たい」、形容詞・形容動詞の語幹

伝聞の「そうだ」… 動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の終止形

様態と伝聞ではどのような接続になるか、例を見てみましょう。

・まだ食べられそうだ。(助動詞「られる」連用形+様態の「そうだ」)

・まだ食べられるそうだ。(助動詞「られる」終止形+伝聞の「そうだ」)

大きそうだ。(形容詞「大きい」語幹+様態の「そうだ」)

大きいそうだ。(形容詞「大きい」終止形+伝聞の「そうだ」)

元気そうだね。(形容動詞「元気だ」語幹+様態の「そうだ」)

元気だそうだ。(形容動詞「元気だ」終止形+伝聞の「そうだ」)

・子どもが行きそうだ。(助動詞「たい」語幹+様態の「そうだ」)

形容詞「ない・よい」は語幹+「さ」

・台風が来ることはそうだ。(しなさそう。)

・そっちの方がそうだ。(よさそう。)

様態の「そうだ」は形容詞の語幹に接続しますが、形容詞の「ない・よい」に関しては、語幹の後に「さ」を補って表します。(なそうだ、よそうだ、という表現はあまり聞かれませんよね。)

しかし最近では「彼はサーフィンをしなさそうだ(しなさそう)」と助動詞の「ない」でも使われることが会話では増えています。

助動詞「ようだ」の意味・活用・接続

助動詞「ようだ」の意味、活用表、活用形、接続について解説します。助動詞「ようだ」には3つの意味があるので、その区別の仕方も覚えておきましょう。

助動詞「ようだ」の意味

助動詞「ようだ」には推定たとえ(比況)例示の意味があります。

(推定)彼は昨日この店に立ち寄ったようだ

(たとえ[比況])彼の動きは空を飛ぶようだ

(例示)彼のような人になりたい。

推定とは不確かな断定であり、何か根拠がある推量を指します。「ようだ」は「らしい」と言い換えられれば推定の意味で使われています。(立ち寄ったようだ → 立ち寄ったらしい

たとえ(比況)は別のものにたとえる表現で、「まるで」「あたかも」を補うことができればたとえ(比況)の意味で使われているとわかります。(飛ぶようだ → あたかも飛ぶようだ

例示は例を挙げたいときに使う表現です。「例えば」を補うことができれば「 彼のような人になりたい。→例えば彼のような人になりたい。 」

助動詞「ようだ」の活用表・活用形

「ようだ」活用表

未然形~う 連用形~た・ある・なる 終止形 連体形~とき 仮定形~ば 命令形
ようだ ようだろ ようだっようで

ように

ようだ ような ようなら

助動詞「ようだ」形容動詞型の活用をします。

各活用形を使った例を見てみましょう。

・それは針のむしろにいるようだろう。(未然形)

・その表情は氷のようだった。(連用形)

・迷惑をかけたようである。(連用形)

・動くようになる。(連用形)

・転びやすいようだ。(終止形)

・まるで太陽のような人だ。(連体形)

・返せないようなら(ば)、通報します。(仮定形)

助動詞「ようだ」の接続

「ようだ」は動詞・形容詞・形容動詞や一部の助動詞の連体形、「~の」に接続します。

・動詞・形容詞・形容動詞の連体形

・助動詞「れる・られる・せる・させる・ない・ぬ・た・だ・たい・たがる」の連体形

・助詞「の」

・連体詞「この」「その」「あの」「どの」

さまざまな語と「ようだ」の接続を見てみましょう。

・元気にやっているようだ。(動詞「いる」連体形+「ようだ」終止形)

元気なようだ。(形容動詞「元気だ」連体形+「ようだ」終止形)

・信じられないようなら、実際に見てみるといい。(助動詞「ない」連体形+「ようだ」仮定形)

・さらに勉強したいようだ。(助動詞「たい」連体形+「ようだ」終止形)

・昨日ように思い出される。(助詞「の」+「ようだ」連用形)

このような話もある。(連体詞「この」+「ようだ」連体形)

助動詞「らしい」の意味・活用・接続

助動詞「らしい」の意味、活用表、活用形、接続について解説します。形容詞の接尾語「~らしい」との違いについても説明します。

助動詞「らしい」の意味

助動詞「らしい」は推定を表し、何か根拠となること・ものがあるときに判断できることを示します。

・彼は研究者だ。(断定)

・彼は研究者らしい。(推定)

・彼は研究者だろう。(推量)

上の例文より、彼がはっきりと研究者であることがわかっているときは断定、論文が残っているなどの証拠があれば推定です。推量では「白衣を着て賢そうだから」というあやふやな情報から判断を下す場合も含まれます。

形容詞・接尾語の「らしい」との違い

次の2つの文を見てみましょう。

・いかにも彼らしい判断だ。

・この判断をしたのは彼らしい

下の文の「らしい」は推定の意味ですが、上の文の「らしい」は推定とは違うようですよね。

上の文の「らしい」は形容詞の一部(接尾語)です。「中学生らしいふるまい」「女性らしい柔らかな動き」などで使われているらしいも接尾語です。ちなみに「すばらしい」のように元から「らしい」で終わる形容詞もあります。

「いかにも~らしい」と言えるときは形容詞の一部(接尾語)の「らしい」、「どうやら~らしい」「~であるらしい」と言えるときは助動詞の「らしい」と判断しましょう。

「らしい」の見分け方

いかにも~らしい」→ 形容詞の一部(接尾語)

どうやら~らしい」「~であるらしい」→ 推定の助動詞「らしい」

「らしい」がついているからといって、すべて推定の助動詞とは限らないので注意しましょう。

助動詞「らしい」の活用表・活用形

「らしい」の活用表

未然形 連用形~た・ある・なる 終止形 連体形~とき 仮定形~ば 命令形
らしい らしかっらしく らしい らしい らしけれ

「らしい」の各活用形を見てみましょう。

・彼女も来るらしかった。(連用形)

・実際電話をくれたのは彼らしく、勘違いしていたようだ。(連用形)

・この人形は動くらしい。(終止形)

・新入生らしい人が来た。(連体形)

・返せないようなら(ば)、通報します。(仮定形)

助動詞「らしい」の接続

助動詞「らしい」は、動詞・形容詞・一部の助動詞の終止形、形容動詞の語幹、体言、一部の助詞に接続します。

・動詞・形容詞の終止形

・助動詞「れる・られる・せる・させる・ない・ぬ・た・だ・たい・たがる」の終止形

・形容動詞の語幹

・体言

・助詞「ばかり」「から」「の」

元気にやっているらしい。(動詞「いる」終止形 +「らしい」終止形)

顔色が悪いらしい。(形容詞「悪い」終止形 +「らしい」終止形)

何もしてあげられなかっらしい。(助動詞「た」終止形 +「らしい」終止形)

もう例のゲームはしないらしい。(助動詞「ない」終止形 +「らしい」終止形)

すっかり今では元気らしい。(形容動詞「元気だ」語幹 +「らしい」終止形)

彼が犯人らしかった。(体言 +「らしい」連用形)

まだ家から出たばかりらしく、遅くなるそうだ。(助詞「ばかり」+「らしい」連用形)

この靴は彼らしい。(助詞「の」+「らしい」終止形)

「そうだ・ようだ・らしい」の違いとは?

助動詞「そうだ・ようだ・らしい」では特に推定・伝聞の意味での違いで混乱することが多いようです。推定と伝聞の区別と、同じ推定の助動詞「そうだ」と「らしい」での区別の仕方について整理します。

「そうだ・ようだ・らしい」推定と伝聞の区別

助動詞「そうだ・ようだ・らしい」では特に推定・様態・伝聞の意味での違いで混乱することが多いようです。

雨が降りそうだ。(様態 … 現在の状況から未来を判断)

雨が降るそうだ。(伝聞 … 人から、あるいは天気予報などで聞いたこと)

雨が降るようだ。/ 雨が降るらしい。(推定 … 証拠・データから過去~未来を判断 )

様態の助動詞「そうだ」は推定に似ていますが、様態の場合は基本的に過去のことは判断しません。「雨が降りそうだ」の「雨が降る」を過去のことにしようとして、「雨が降ったそうだ」と言うと「伝聞」の意味になってしまいます。

伝聞の助動詞「そうだ」は天気予報で言っていたので根拠はありますが、自分の判断が入っているわけではないので推量・推定とは異なります。

推定の助動詞「ようだ」「そうだ」を使うと、天気予報でも言っていたし、空模様もどんよりしているから「降るようだ・降るらしい」と判断している、と聞き手・読み手が受け取ることができます。

「そうだ」と「らしい」の区別

そうだ」と「らしい」は推定の意味では同じように使え、「来るようだ→来るらしい」のように言い換えが可能です。ただし接続が異なります

ようだ らしい
動詞 連体形 終止形
形容詞 連体形 終止形
形容動詞 連体形 語幹
助動詞 連体形 終止形
助詞 ばかり、から、の
体言
連体詞 この・その・あの・どの

助動詞は「れる・られる・せる・させる・ない・ぬ・た・だ・たい・たがる」などの一部の助動詞

形容動詞は「そうだ」「らしい」のどちらでも使われますが、連体形を使うか、語幹を使うかという違いがあります。例えば「元気な(連体形)ようだ」とは言いますが「元気ならしい」とは言わず、「元気(語幹)らしい」と言います。

「帰ってきたばかりらしい」とは言いますが、「帰ってきたばかりそうだ」とは言いません。

【問題編】助動詞「そうだ・ようだ・らしい」

問1 次の「そうだ」は様態と伝聞のどちらの意味で使われているか答えなさい。

(1) 雪になりそうだ。

(2) その花は美しいそうだ。

(3) 今日は早退したそうだ。

(4) この商品は人気がなさそうだ。

問2 次の(1)~(3)各文の下線部「ようだ(ような)」と同じ意味で使われているものを、下のア~ウから選びなさい。

(1) 彼女のような歌手になりたい。

(2) そろそろいらっしゃるようだ

(3) 雨が降っていたかのようだ

ア 外で遊んでも良いようだ

イ まるで荒らされたような部屋だ。

ウ きゅうりやトマトのような野菜を栽培したい。

問3 次の文の下線部「らしい」と同じ意味で使われているものを、下のア~ウから選びなさい。

その歌手は引退するらしい

ア 引き際が彼女らしい

イ すばらしいステージだった。

ウ どうやらリーダーは彼らしい

まとめ

助動詞「そうだ・ようだ・らしい」の意味や活用・接続、またそれぞれの違いについても見てきました。最後の確認問題は解けましたでしょうか。

各助動詞の活用・接続を確認するとともに、意味や品詞の識別、推定・伝聞・様態の違いについても整理しておきましょう。

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