今回は受け身の助動詞の「れる・られる」について解説します。
「れる・られる」には受け身・尊敬・可能・自発の4つの意味があります。「れる・られる」がどの意味で使われているのか、見分けられるようにしましょう。
また「れる」と「られる」の使い分けも覚えておきましょう。
助動詞「れる・られる」の活用と接続
受け身・尊敬・可能・自発の4つの意味がある「れる・られる」の活用表が下の表です。
未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 仮定形 | 命令形 | 接続 | |
れる | れ | れ | れる | れる | れれ | れろ れよ |
五段・サ変動詞の未然形 |
られる | られ | られ | られる | られる | られれ | られろ られよ |
上一段・下一段・カ変動詞の未然形 |
「れる」「られる」は下一段型の活用になります。命令形は「受け身」の意味でのみ使われます。
「れる」「られる」いずれも未然形に接続しますが、「れる」は五段・サ変動詞、「られる」は上一段・下一段・カ変動詞に接続します。「られる」は助動詞「せる」「させる」にも接続します。
まだ食べられる。(「られる」終止形)
多くの人にその本は読まれた。(「れる」連用形)
部屋を掃除させられた。(「られる」連用形)
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助動詞「れる・られる」の意味と例文
助動詞「れる・られる」には、(1)受け身・(2)尊敬・(3)可能・(4)自発があります。
(1)受け身「他の人や物から~される」
例:先生にほめられた。/友達に笑われた。
(2)尊敬 尊敬する人の動作
例:もうその本を読まれましたか。/お客様がそろそろ来られるようです。
(3)可能「~できる」
例:彼の話は信じられない。/この枝はなかなか折れない。
(4)自発「自然と~する(思う、感じる)」
例:夏の訪れが感じられる。/故人が偲(しの)ばれる。
受け身は他の人や物から受けた動作であり、「先生にほめられた」→「先生からほめてもらった」ように言い換えられます。
尊敬の意味で使うときは、自分の動作ではなく尊敬する相手(お客さん、先生、上司、先輩など)の動作であることがポイントです。
「れる・られる」が「~できる」と言い換えられれば可能の意味です。例えば「この話は信じられない」→「この話は信じることができない」のように言い換えられるので、この「られ」は可能の意味と考えられます。
最もわかりにくいのが自発ですが、自発の意味で使うときは「自然と~する」と言い換えることができます。例えば「夏の訪れが感じられる」→「夏の訪れを自然と感じる」のように言い換えられます。また自発の意味では心の中で思う、考えるような言葉が使われます。
自発でよく使われる動詞…思う、感じる、偲(しの)ぶ、案じる、思い出す
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助動詞「れる・られる」使い分け
「れる」は五段・サ変動詞の未然形、「られる」は上一段・下一段・カ変動詞、助動詞「せる」「させる」の未然形に接続します。
これ以上は切られない。(五段「切る」未然形+「れる」未然形)
これ以上は着られない。(上一段「着る」未然形+「られる」未然形)
母に怒られた。(五段「怒る」未然形+「れる」連用形)
全部の箱を数えられた。(下一段「数える」未然形+「られる」連用形)
故郷のことが思い出される。(五段「思い出す」未然形+「れる」終止形)
もっとご飯を食べられる。(下一段「食べる」未然形+「られる」終止形)
尊敬される人になりたい。(サ変「尊敬する」未然形+「れる」連体形)
食べられる物が欲しい。(下一段「食べる」未然形+「られる」連体形)
注意されれば、悪ふざけをやめるだろう。(サ変「注意する」未然形+「れる」仮定形)
ほめられれば、うれしい。(下一段「ほめる」未然形+「られる」仮定形)
長いものには巻かれろ。【ことわざ】(五段「巻く」未然形+「れる」命令形)
捨てられろ。(下一段「捨てる」未然形+「られる」命令形)
ら抜き言葉とは
「食べることができる」ことを表したいとき、「食べる」は下一段活用なので「られる」とつなげて「食べられる」と言うのが本来の表し方です。しかし最近では同じ意味で「食べれない」と表現されることも多いです。このような表現をら抜き言葉といいます。
・着る→着れる(×)・着られる(○)
・食べる→食べれる(×)・食べられる(○)
※壊す(五段活用)、注意する(サ変)などは「られる」でなく「れる」をつなげます。
なお可能動詞(切れる、読めるなど)は五段活用の動詞を下一段活用の動詞にしたものですが、「切れる」「読める」などの可能動詞の後に「れる」をつなげるのも、本来正しい表現ではありません。
※切る→切れる、読む→読めるなど、可能動詞にするのは五段活用のみ可能
読まれる(○)・読める(○)・読めれる(×)
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【問題編】助動詞「れる・られる」
問1 次の文の下線部「れる・られる」は受け身・尊敬・可能・自発のどの意味が最も適切か。
(1) さわいでいたら先生に注意された。
(2) 祖父のことが案じられる。
(3) 蚊に刺された。
(4) 先生が家に来られた。
(5) どこででも寝られる。
(6) 秋の訪れが感じられる。
(7) 当時は苦労されたと聞いています。
(8) 遠い建物まで見られた。
問2 次の( )内の助動詞から適切な方を選びなさい。
(1) 大規模なパーティーが開催さ( れ・られ )た。
(2) 背が伸びたのでこの服はもう着( れ・られ )ない。
(3) 故人がしのば( れる・られる )。
(4) 考えさせ( れる・られる )問題だ。
(5) かばんが自転車の下でひか( れ・られ )た。
まとめ
助動詞「れる・られる」について見てきましたがいかがでしたでしょうか。「れる・られる」の4つの意味、活用、接続と使い分けを確認してきました。接続による使い分けの方法がわかれば、ら抜き言葉がどれかを判別することができます。