「だ」と「です」は断定の助動詞ですが、「です」は丁寧な断定を表現するときに使う助動詞です。丁寧語で「です・ます」はよく使われますよね。
今回は助動詞「だ」「です」の活用・接続について、他の助動詞・品詞との見分け方についても説明します。
助動詞「だ」の意味・活用・接続
断定の助動詞「だ」の意味、活用表、活用の例、接続について見てみましょう。
助動詞「だ」の意味
助動詞「だ」は断定の意味で、不確かなものではなく、物事をはっきりこうだ、と判断できるときに使われます。
助動詞「だ」の活用表
未然形~う | 連用形~た・ある | 終止形 | 連体形~の | 仮定形~ば | 命令形 | |
だ | だろ | っで | だ | (な) | なら | ○ |
助動詞「だ」は形容動詞型の活用です。各活用形を使った例文を見てみましょう。連体形がカッコつきなのは、一部の助詞(の、のに、ので)のみ接続するためです。
・彼は新入生だろう。(未然形)
・かつては私も遅刻の常習犯だった。(連用形)
・私が山田である。(連用形)
・彼は新入生だ。(終止形)
・彼女が森さんなの。(連体形)
・冷えるならばエアコンを止めようか。(仮定形)
※「きれいだ → きれいな花」のように助動詞「だ」もふつうの体言に連なる連体形にできそうですが、この「きれいだ」は形容動詞であって、助動詞の「だ」ではありません。
※仮定形の「なら」は「ば」を伴わずに単独でも使われます。→「体調がすぐれないのなら、無理しないで。」
助動詞「だ」の接続
断定の助動詞「だ」は、
・体言
・一部の助詞(「の」「だけ」など)
・<未然形・連用形・仮定形のみ>動詞・形容詞・助動詞(「れる・られる」「せる・させる」「ない」「たい」など)の終止形
に接続します。
・私が山田だ。(体言+だ)
・こんなことをできるのは彼だけだ。(助詞「だけ」+だ)
・彼はそんなことしないだろう。(助動詞「ない」終止形+「だ」未然形)
助動詞「だ」紛らわしい語の品詞分解
「きれいだ」は「きれい+だ」?
「きれいだ」は一つの品詞、形容動詞です。形容動詞の「だ」は「な(+体言)」に言い換えられます(※)。断定の助動詞「だ」にも連体形「な」がありますが、この場合「の」「のに」など特定の助詞を続けない限り不自然になります。
きれいだ→きれいな(○)… 形容動詞
山田だ→山田な(×)… 体言+断定の助動詞「だ」
※ 助動詞「そうだ」「ようだ」も「だ」を「な」に言い換えられます。
「~のだ・なのだ」を品詞分解すると?
よく使われる連語の表現に「~のだ・なのだ」があります。(「もう家を出るのだ。」「人に親切にすることは良いことなのだ。」)
・な→ 断定の助動詞「だ」連体形あるいは形容動詞連体形の活用語尾「だ」
・の→ 助詞
・だ→ 断定の助動詞「だ」
「~だろう」を品詞分解すると?
「彼は来るだろう。」のように「~だろう」という表現はよく使われますが、これは一つの助動詞なのではなく、2つの助動詞を組み合わせたものです。
・だろ→断定の助動詞「だ」未然形
・う→推量の助動詞「う」終止形
助動詞「です」の意味・活用・接続
断定の助動詞「です」の意味、活用表、活用の例、接続について見てみましょう。
助動詞「です」の意味
助動詞「です」は丁寧な断定を表します。断定の助動詞「だ」より丁寧な言い方になります。「ます」とともに敬語の「丁寧語」としてよく文末に使われます。
助動詞「です」の活用表
未然形~う | 連用形~た | 終止形 | 連体形~ので | 仮定形~ば | 命令形 | |
です | でしょ | でし | です | (です) | ○ | ○ |
「です」は特殊な活用です。「です」の各活用形を使った例を見てみましょう。連体形がカッコつきなのは、一部の助詞(ので、のに)のみ接続するためです。
・彼がそんなことをするわけないでしょう。(未然形)
・彼がおやつを食べた犯人でした。(連用形)
・もうすぐ2時です。(終止形)
・雨が降りそうですので、傘をお持ちになってください。(連体形)
※「ずいぶんと騒がしいですこと(もの)。」と言うことがありますが、こちらの「こと(もの)」は女性の話し言葉で使われる終助詞で、連体形ではなく終止形だと考えられています。
助動詞「です」の接続
断定の助動詞「です」は、
・体言
・形容動詞の語幹
・助動詞「そうだ」「ようだ」の語幹
・一部の助詞(「の」「だけ」など)
・動詞・形容詞・助動詞(「た」「ない」「せる・させる」など)の終止形 … 未然形のみ
に接続します。
・私が山田です。(体言+です)
・家族みな元気です。(形容動詞「元気だ」語幹+です)
・彼は後から来るそうです。(助動詞「そうだ」語幹+です)
・どうやら今夜から雨が降るようです。(助動詞「ようだ」語幹+です)
・そうではないのです。(助詞「の」+です)
・彼はパーティーには来るでしょう。(動詞「来る」終止形+「です」未然形)
・彼はパーティーには来ないでしょう。(助動詞「ない」終止形+「です」未然形)
「彼はパーティーに来るです。」のように、動詞の終止形と「です」の終止形を使うことはありません。(くだけた会話などでは聞かれますが。)
最近では「雪のように白いです。」のように、形容動詞だけでなく形容詞の終止形、助動詞「ない」「らしい」などの終止形にも、「です」の終止形を用いられるようになっています。
助動詞「だ」と「です」は言い換え可能?
文末に使われる「~だ」と「~です」は言い換えることが可能です。
彼が山田だ。⇔ 彼が山田です。
家族みな元気だ。⇔ 家族みな元気です。
ただし例外もあり、助動詞「ない」に続くときや、上で述べたような「形容詞の終止形+です」は「~だ」に言い換えると不自然になります。
雪のように白いです。→ 雪のように白いだ。(×)
今日は晴れるらしいです。→ 今日は晴れるらしいだ。(×)
◆「です」「ます」の違いについても知りたい方はコチラの記事を
関連記事:中学国語文法 丁寧の助動詞「ます」
【問題編】断定の助動詞「だ」「です」の確認!
問1 次の各文から断定の助動詞「だ」「です」を探して書き抜き、さらにその活用形も答えなさい。
(1) 彼が森山さんだろう。
(2) 実は彼は美容師だった。
(3) こんな時間ですのに、来ていただいてありがとうございます。
(4) 彼が本物の歌手なら、どうしよう。
問2 次の各文で断定の助動詞「だ」が使われているものを記号で答えなさい。
ア そろそろ雨が降るようだ。
イ 姉は昨年嫁(とつ)いだ。
ウ 多分あの人が新しい先生だね。
エ 彼はとても勇敢だ。
オ 彼女は元気そうだ。
問3 次の各文で使われている「なら」の中で、断定の助動詞「だ」が使われているものを記号で答えなさい。
ア もっと静かならば、集中できるのに。
イ彼が先生ならば良かったのに。
ウ ならば、そうしようか。
エ 海が穏やかなら、泳ぎに行きましょう。
まとめ
断定の助動詞「だ」「です」について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。普段なんとなく使っている言葉が意外にも断定の助動詞「だ」の活用形だったり、意外に奥が深いように感じられます。
「だ」「です」ともに活用も不規則ですが、接続も一部のものは活用形も限定されていたり、かなり特殊です。言語は時代とともに変化していくものですが、どのような場面でも使えるよう広く認められている表現を身につけるためにも、文法の学習が必要なのでしょうね。
テスト対策で特に気をつけたいのは「だ」の活用形や、他の品詞や助動詞との区別ですね。解説・問題を参考に見分けられるようにしておきましょう。